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自分の宝物を探し続ける道のり

2011-11-19 | └キャリア教育
『ヒット商品研究所へようこそ!』の「青い鳥文庫」の項では、「黒魔女シリーズ」の作者、石崎洋司さんが紹介されています。「黒魔女さんが通る!!」は、「青い鳥文庫」の数あるシリーズの中でも、これまで出た13巻で200万部以上の売り上げを記録している隠れたベストセラー。



石崎さんは、子どもの頃に本屋で柳田國男の「遠野物語」に偶然出会い、その世界に引きつけられて、高校時代、二度も遠野を訪れているのだそうです。そして、そこで出会った一人のおばあちゃん。不思議な体験。それが、のちに石崎さんが作家になる大きな要因となっています。

『ヒット商品研究所』のこうやまさんは、こう書いています。

遠い昔から、世界中の人々が、十代なかばという年代は人間にとってとても大切なときだと考えてきました。この時期に子どもたちは、心のおく深くにひとつの「宝物」を宿すということを、大人たちは知っているからです。

ある人は音楽。ある人はスポーツ。ある人は科学。ある人は、まだ名前をつけることすらできない、「なにか」と呼ぶしかないようなもの。だれもがそんな宝物を、心にひとつ宿すのです。


その「宝物」が、石崎さんにとっては、「物語」だったのですね。大学を出て出版社に就職し、子ども向けの雑誌の編集をしながら、石崎さんの心は「物語」から離れることはありませんでした。そして、長い年月をかけて、「作家」というおそらく彼の「天職」を得た。

とはいえ、この宝物は、それを得たことじたい、本人にはわからないことがあります。また、大人になるまでに、なにを宿していたのか見失ってしまうこともあります。あるいは宝物じたいが変化してしまうこともあるかもしれません。

人間の一生は、自分のなかにあるはずの、この宝物を探し続ける道のりだといってもいいほどです。


石崎さん自身が、こう語っているそうです。

「人生に、遠まわりやむだなものはいっさいないと思います。どんな時で自分が大切にしているものを信じて、そのときそのときで、できることを一生懸命やっていれば、かならずそれらは自分の力になるんだと思います。ぼくにとっては、高校時代の遠野体験も、ボート部での体験も、大学時代の民話体験も、すべて『黒魔女さん』のなかにはいっています」

こんなふうに自分の人生を振り返ることができることが素晴らしい。石崎さんは、そういう思いを、作品を通じて子どもたちに語りかけているのですね、きっと。

それにしても、「自分が大切にしているもの」。それが何なのかに気づいていない子どもが多いんだと思います。で、それに気づくように、大人がちょっと手を差し伸べることこそが”education”なのだと思う。それは、「教育」ではなく“education“。

ここにも、「プランド・ハプンスタンス」がありますね。偶然を呼び込む力。そして、その偶然の出会いを無にしない生き方。そこに自分だけの「宝物」を見出す力。

前向きに生きようとする人には、いい出会いも向こうからやってくるのですねー。そういう大人体験を子どもたちに伝えていかなくちゃね。

 

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