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『天使と悪魔』その10─「四大元素」

2006-09-04 | └『ダヴィンチ・コード』・『天使と悪魔』
誘拐した4人の枢機卿を1時間ごとに1人ずつ公共の場で殺害する、と告げてきた犯人。一人目は既に殺された。ラングドンとヴィットリアは、ガリレオの残した詩と、同じくイルミナティのメンバーだったと思われるベルニーニの彫刻作品を手がかりに、次の犯行現場を探します。

サンタ・マリア・デル・ポポロ教会の手がかりと考えられるのは、ベルニーニの「ハバククと天使」。旧約聖書に出てくる預言者ハバククと天使のどちらもが指で彼方を指しています。しかも、全く別方向を。犯人が示す次の犯行現場はいったいどっちなのか!? 

ラングドンはガリレオの例の詩から、それが「天使」の指さす方向であると推測します。

悪魔の穴開くサンティの土の墓より
ローマに縦横に現れる神秘の元素
光の道が敷かれ、聖なる試練あり
気高き探求に天使の導きあらん

そして、天使の指さす方向にはサン・ピエトロ大聖堂が…。まさか、ヴァチカンで枢機卿の暗殺が行われるのか? しかし、サン・ピエトロ大聖堂は「公共の場」とは言えません。ならば、サン・ピエトロ広場か。中央にオベリスクが立ち、その根元には大理石の楕円形のブロックが埋め込まれている。そのブロックには、「渦巻く風の図柄」が彫られているという。次のキーワード"AIR"、「空気」にまさに合致する! しかも、サン・ピエトロ広場は、ベルニーニの設計によるものなのです。ベルニーニは、「天使のような容貌の“西風の神”(ゼピュロス)」の口から息を吹き出させるレリーフを、広場の真ん中に描いているのです。

二人は急いでサン・ピエトロ広場に向かいます。しかし、時既に遅し。ベルニーニのレリーフの上で、二人目の枢機卿がまさに息耐えんとしていました。その胸には、左右対称にデザインされた"AIR"の焼き印が…。

時間は刻々と過ぎていきます。次の教会はどこか? ヒントは「ウェスト・ポネンテ」つまり西風」にありそうです。西から吹いてくる風が向かう方向は東。そして次のキーワードは"FIRE"「火」です。サン・ピエトロ広場から東の方向にある教会で、ベルニーニの「火」に関わる彫刻がある場所を一刻も早く見つけ出さなければなりません。

ラングドンは、ヴァチカンの記録保管庫でベルニーニの作品を一つ一つ当たってみます。「火」に関係するベルニーニの彫刻。たぶんそれは誰もが知っている有名な作品に違いない。

ラングドンが思い当たったのは、ベルニーニ作品の中でも特によく知られている「聖テレサの法悦」でした。歓喜の表情を浮かべる聖テレサ。そのあからさまな性的表現。聖テレサは、眠りの中で天使による至福の訪問を受けたとされますが、彼女自身の言葉と伝えられる「天使の偉大な黄金の槍が……火炎に包まれ……幾度もわたしのなかへはいっては……腸(はらわた)を刺し貫き……そのあまりの甘美さゆえに、果てなきを願わずにいられない…」、これこそ「火」を象徴するものではないか。

ラングドンは、「聖テレサの法悦」が置かれてあるのが、まさにサン・ピエトロ広場から真東に位置するサンタ・マリア・デッラ・ヴィットリア教会であることを知ると、そのことを確信します。もう時間がない。すぐにそこに駆けつけなくては。

ところが、彼はなぜかそのまま誰もいない記録保管所に閉じこめられてしまうのです…。

"EARTH"「土」、"AIR「空気」、"FIRE"「火」、"WATER"「水」。この「四大元素」に従ってイルミナティは恐ろしい殺人を下していきます。そういえば、リュック・ベンソン監督の映画「フィフス・エレメント」でも、この4つの元素に「5番目の要素」が加わった時に、地球の危機が救われたのでしたね。この4つの単語の、イルミナティが作った左右対称のアンビグラムのデザインを『天使と悪魔』では見ることができます。それはそれで興味深いものがあります。


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