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カクレマショウ

やっぴBLOG

「見て判断する」権利は誰も奪えない。

2008-04-10 | ■社会/政治
ドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」の上映を予定していた東京、大阪の5つの映画館が、すべて「自主的に」上映の中止を決めたというニュースを聞いて、情けないなと思いました。一部の自民党国会議員がこの映画を「偏向している」と問題視し、試写会を開催したことが上映中止に至る契機になりました。

「偏向」とは、何なのでしょう? あるいは「中立」とは?

ドキュメンタリーは、すべて「偏向」しているに決まっています。作り手が何かしらの「思い」を持って製作しているわけですから。そもそも、完全な「中立」なんてあり得ない。「ダーウィンの悪夢」だって、そこを踏まえて見るから興味深いわけで。「政治的」に「偏向」していると言うなら、試写会を要求した時点で既に「偏向」しているのであって、この映画を「政治的」にしているのは、他ならぬ自分たち自身だということに国会議員たちは気づいていない。

この国の政治家たちが国民を信用していないことがまたもや露呈したという感じですね。この映画を見て、どんな映画かを判断するのは政治家ではなくて、私たちの側のはず。見てから議論するべき話でしょう。見せもしないで「アブナイ映画だから見ちゃダメ」というのはまるで子ども扱いですね。「政治家である」(つまり「権力を持つ」)というだけで、つまらないことにまで干渉してくることが多すぎる。試写を見る時間があったらもっと別の問題にきちんと取り組んでほしい。

この映画をめぐる問題は、「中国人」の監督が作ったということに尽きると思います。日本人や米国人が作った作品ならここまで問題にはならなかったでしょう。一人の中国人が靖国を撮る。そこには否定的なトーンが帯びるかもしれない。しかし、それもまた一つの視点であって、それを受け止めるだけの度量がなぜないのか。「たかが映画」ですよ! 中国政府がチベット民族を弾圧しているのとはわけが違う。

それにしても、「靖国」は、決して割り切ってとらえることができない奥の深い問題なので、中国人が撮ろうと誰が撮ろうと、結局は「表層」をなぞることしかできないような気もしますけどね…。見てもいないのにこんなこと言うのもなんですが。やっぱり見なくちゃわからない。自分で見て判断するしかない。

そういう声に答えて、あえて上映に踏み切るという全国各地の映画館の勇気には敬意を表したい。右翼やなんかの妨害行動もあるかもしれませんが、なんとか上映を貫いてほしい。彼らを守ることができるのは、私たち一人一人の「意識」だけなのかもしれません。


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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (日本人)
2008-04-11 02:49:47
言論の自由の前に、出演者を騙して撮影し、上映中止を要請されて、なおかつ著作権・肖像権侵害をしている犯罪映画を上映してもいいのでしょうか。
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Unknown (やっぴ)
2008-04-11 08:18:09
日本人様

「犯罪映画」という意味が私にはわかりませんね。

また、製作過程での様々なトラブル、問題点は、「言論の自由」とやらの「前」にあるのではなくて、「次」に考えるべき問題だと思いますが。
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