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『ダ・ヴィンチ・コード』その1 黄金比

2005-01-06 | └『ダヴィンチ・コード』・『天使と悪魔』
1.6180339887…  黄金比─神聖なる比率。ギリシア文字のΦ(ファイ)。

ダン・ブラウンの「ダ・ヴィンチ・コード」をようやく読めました。現代のルーブル美術館で館長が殺される。彼は謎めいたダイイングメッセージを残していた。ひょんなことから事件に関わることになった米国の宗教象徴学者と館長の孫にあたるフランス人女性が、彼のメッセージを読み解くうちにキリスト教をめぐる歴史的な陰謀に巻き込まれていく…という物語です。

私には、登場人物の口を借りて語られる、歴史の「陰」の部分に引かれることが多い小説でした。そのいくつかについて、取り上げていきたいと思います。

まず上巻の127頁あたりに出てくる「黄金比」。名刺、クレジットカード、はがき、テレビのワイドスクリーンなどはすべて縦横の比率が黄金比つまり「1:1.618…」に近い値になっています(その形を「黄金矩形」と呼びます)。黄金比はもっとも調和のとれた美しい比率とされ、見る者に安心感を与えてくれます。

黄金比は古今の様々な建築や芸術作品に使われています。古代エジプトのピラミッド、アテネのパルテノン神殿、そして、レオナルド・ダ・ヴィンチの多くの作品。「モナ・リザ」の顔は黄金矩形の中にピタリと収まるし、「最後の晩餐」の構図にも黄金比が見られます。そして、この本の中でも重要な意味を持つ「ウィトルウィウス的人体図」に表されているように、人体の様々なパーツにも黄金比が存在することをダ・ヴィンチは実証しています。たとえば、「頭のてっぺんから床までの長さ」と「へそから床までの長さ」、「肩から指先までの長さ」と「肘から指先までの長さ」。人体は黄金比の集約とも言えるのです。

人体ばかりではありません。もっとも不思議なのは、「黄金比は自然界のいたるところに見られる」ということです。ミツバチの群れにおける雄と雌の個体数の比率、オウムガイの螺旋形、ヒマワリの種子の配列、昆虫の体の分節、植物の茎の葉のつき方、松かさの鱗片。自然界には数え切れないほどの黄金比がひっそりと存在しているのです。主人公ラングドンは言います。「混沌とした世界の底には秩序が隠れている。太古の人々は黄金比を見いだしたとき、神の創りたもうた世界の基本原理に出くわしたと確信し、それゆえに自然を崇拝した」…。

「宇宙の摂理」とでもいうのでしょうか。宗教を持たない人も、黄金比を知れば、何かしら「神の手」の存在を感じざるを得ないのではないでしょうか。

黄金比の値は、「フィボナッチ数列」から導き出されると言います。その数学的な解明はさておき、簡単な「黄金矩形」の作り方に触れておくと、
1 正方形を書く。
2 底辺を2等分する。
3 2等分した底辺上の点を中心とし、正方形の右上の角までの距離を半径とする円を描く。その円が底辺の右延長線上と交わる点と正方形の左下の角を頂点とする長方形を描く。
4 それが黄金矩形です。
つまり、正方形の一辺の長さ:円の半径が1:1.618…になっているのです。もっとわかりやすい描き方を知りたい方は、こちらをご覧ください。自然界の黄金比についてもアニメーションで紹介してくれています。
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