カクレマショウ

やっぴBLOG

「50年前の子ども」から今の子どもたちへ

2007-04-25 | └キャリア教育
昔から知っている、ある高校の女性校長が地元紙に「二日町十六番地」と題したエッセイを寄せていました。短いけれど、とても暖かく素敵な文章です。

タイトルは、小さい頃に暮らした町の番地。昭和30年代の地方の小さな町の目抜き通りってこんな感じだったんだろうなと思います。向かいの煎餅屋の小父さんが少し焦げた煎餅をおやつにくれたり、「道路から馬糞を集めて捨てるのは子供の役目」だったり、「二軒上隣の豆腐屋さんで飼っている大きな豚」が我が家の勝手口に突進してきたり。

娯楽といえば、映画館に「歌手の実演」が来ること。父が営む洋服店は臨時休業となり、家族や店で働く「兄さん」たちが総出で手伝いに行く。子どもたちにとってはどんなにかわくわくする出来事だったことでしょうか。滅多にない娯楽だから、「わくわく」度が今の子どもたちとは格段に違うのだと思います。心の底からわくわくする、それは子どもたちの特権ですが、あまりにも頻繁にわくわくしたりドキドキする機会が多いと、本当にわくわくしたい時に心の底からわくわくできなかったりするのかもしれませんね。

そして、そういう経験は、きっと「大人社会」を垣間見る機会でもあったのだと思います。そういう機会を今は意図的に「作って」あげる必要がある、というのも現実ではありますが、ちょっと寂しいことです。

締めくくりの文章はこんな感じです。

「三戸町二日町十六番地。父の店の跡に立つと、ミシンの音や煎餅の香ばしさ、映画館の拍手、生暖かい豚の鼻息まで鮮やかに蘇ってくる。そして、思う。あの頃、大人の誰もが持っていた、自分に対する厳しさと節度ある優しさを、今の私は持っているのだろうか、と。」

いいですねえ…。

そんな、体験に基づく「大人の思い」を、先生にはぜひ今の高校生に伝えていってほしいと、強く思います。


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2 コメント

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50年前の子供 (しおね)
2007-04-26 21:30:47
私も50年前の子供です。先日小学校の同窓会へ出席しました。私たちは昭和20年の生まれです。団塊の世代には入りません。一番子供の数が少ない年です。東京郊外の開発前の時代でずっと1クラスで過ごしました。半分幼馴染のようなクラスです。何回か集まっていますが、今回は小学校のあった街(少子化のせいでしょうか廃校になっています)での同窓会でした。私は30年振りに子供の頃住んでいた場所を訪ね写真を撮ってまわりました。
もう無くなってしまった雑木林や小川、麦畑、私の住んでいた住宅も建て替えられすっかり様子が変わってしまっています。

戦争が終って10年近く、貧しいと言ってもどうにか暮らせる落ち着きが出てきた時代でした。あの頃ののんびりした空気が懐かしいです。
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Unknown (やっぴ)
2007-04-30 11:21:10
しおねさん

30年ぶりといえば、ほとんど景色は変わっていたのでしょうね。

今、格差社会と言われますが、昭和30年代頃からでしょうか、そういう兆候はあったのかもしれません。「のんびりした空気」を体験された方のお話はそれだけに貴重と思っています。
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