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カクレマショウ

やっぴBLOG

なんとかするべ、が社会を動かす。

2007-04-24 | ■社会/政治
2007年4月14日付け朝日新聞 be on Saturdayの「フロントランナー」は富山市のNPO法人このゆびとーまれ理事長、惣万(そうまん)佳代子さん。高齢者、障害者、児童という福祉行政の枠組みを超えた、新しいデイサービス(「富山型デイサービス」)の生みの親です。

「このゆびとーまれ」には、年齢や障害の有無にかかわらず、「誰でも必要なときに必要なだけ利用」できる施設。通常の行政のシステムでは考えられない形態です。惣万さんが当初、「高齢者か障害者のどちらかに絞れば補助金が出る」という市の「説得」を受けたというエピソードが紹介されていますが、これは如実に福祉行政の縦割り業務を表していますね。

「このゆび」の写真を見ると、お年寄りや子どもたち、障害を持つ人たちが同じ部屋にいて、楽しそうに笑っている。いろんな世代や境遇の人が一緒にいるというのは、考えてみれば社会の中では当然のことで、「福祉施設」になったとたんに高齢者は高齢者、障害者は障害者、子どもは子どもだけと区別されてしまうのはもしかしたら自然じゃないことのかも…と考えさせられます。

行政に頼らない惣万さんのやり方は、結果的に成功します。彼女の試みに、社会が「共感」したのです。多額の寄付が集まり、そして、彼女のやり方そのものもあっという間に富山県内に広がりました。こうなると行政も動かざるを得ません。県はついに縦割りの仕組みを超え、柔軟な補助事業を打ち出すに至りました。こうして、「富山型デイサービス」が誕生していったのです。現在では「富山型」が他県にも広がっているのだとか。

惣万さんの理念は、「人は建物じゃなくて人に集まる」。これ、すごくいい言葉ですね。だから人を育てる。建物や制度なんか、きっとあとからついてくるのですね。

惣万さんは、最初からこんな大きなうねりを起こそうなんて、もちろん考えていなかったと思います。看護師として、あるいは個人的に家族の介護を体験する中で感じた「つらかった思い」を何とかしたいという気持ちがコトを起こさせたのです。そのチャレンジ精神と実践力には心から敬服します。

津軽弁で「なんとがなんねーべが」。そういう思いを抱いている人は結構多い。でもそれをなんとかしようと動き始める人はそれほど多くない。なんとかするために、新しいビジョンを描き、実行に移していくのは並大抵のことではありませんから。でも、青森県って、惣万さんのような人が少なすぎるのかもしれません。県民性、と言ってしまえばそれまでですが、「なんとかする」ために必要なチャレンジ精神と実践力は、やっぱり必要だよなーと、惣万さんを見て思っています。


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