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カクレマショウ

やっぴBLOG

残念なフォーラム

2011-01-15 | └キャリア教育
昨日、文部科学省が毎年開催している「キャリア教育推進フォーラム」に参加してきました。

今月末には、キャリア教育・職業教育に関する中教審の答申が出ることもあって、最新の動向や今後の方向性について知ることができるのではと期待していたのですが、なんだかなア…という感じでした。参加者は400名以上。この手のフォーラムでは珍しく、参加者名簿が配られたのはへぇ~と感心しました。名簿を見ると、参加者のほとんどが学校の先生です。

まず最初に、各都道府県教育委員会から推薦されて毎年選出される「キャリア教育優良教育委員会・学校、企業及びPTA団体等文部科学大臣表彰」の表彰式が型どおりに執り行われる。ただ、いったい表彰されたそれら112校・団体がどういう取組で表彰されているのかは、あの場では皆目分からない。ま、すべての取組を紹介するわけにもいかないわけで、それぞれがんばってるんだろうな!くらいの感じで、とりあえず拍手しておきました。

そのあと、基調講演はキャリア教育の分野では高名な大学教授。本も読んだことがあるので、話を聞いてみたいと思っていたこともあり、それなりに得るところはありました。でも、やっぱり型どおり、なんだよなあ…。研究者として、もう一歩、「次の一手」をずばっと示して欲しかった気もしました。

次いで、3本の事例発表。

仙台市の「自分づくり教育」は、以前、聞き取り調査に行ったことがあり、その時応対してくださった方が、今回の発表者でした。仙台市の取組は、以前からすごいなあと思っていたし、今回の発表で改めてこれまでの苦労や今後の課題を聞くことができました。面倒くさがらずに頻繁にアンケート調査をとって、そのデータを分析しながら、次の段階に進めていくという手法は、ぜひ見習いたいところです。中学生の職場体験活動の発表会を母校の小学校で行う、という「鮭方式」というのも面白いなと思いました。

あとは、高知県の中高一貫校の取組と、福井県のメッキ会社の取組。高知は、県教育委員会が高校のキャリア教育に力を入れていることと相まって、中高一貫の良さを十分生かした取組だなあと思いました。メッキ会社の事例は、地方の一中小企業があれだけの取組を続けてきていることは素晴らしいことだし、そのポリシーも共感できる。ただ、既に数年前に行われた経済産業省のキャリア教育フォーラムでも同じ事例を取り上げているのです。正直、経産省と同じか…という感じは否めませんでした。確かにあれだけの事例はなかなかないとしても、せっかくの全国フォーラムです。文科省ももうちょい別の事例を探す努力してくれよん!と思いました。

それと、事例の中に、コーディネーターに関わる話がほとんど出てこなかったのはどういうわけだろう。文科省だから、学校の先生向けという意識はあったとしても、だからといって、キャリア教育に絶対欠かすことのできないコーディネーターの好事例を取り上げる必要はなかったのか? まさか、民間コーディネーターの育成は経産省の事業だから…というわけでもあるまいし。文科省としては、学校支援地域本部の中でキャリア教育をがんがん進めている事例を紹介する手もあっただろうし、そういう取組こそが「先進的」な事例と言えるのではないのでしょうか。

あるいは、今度の中教審答申でも掲げられることになる「小・中・高が連携したキャリア教育」についても、何らかの形で、もうちょっと示唆が欲しかった。

数年前、キャリア教育関係の全国フォーラム(経産省のも含めて)に参加するたびに、抱えきれないほどの成果をわくわくして持ち帰ったことを思えば、今回のフォーラムはとても残念というしかない。文科省、もうちょっとがんばってくれよ、と思いながら、狭苦しい会場(隣とぴったりくっついたパイプ椅子、足下の床に荷物とコートを置くしかない、メモもろくにとれないような窮屈な会場に400人以上を押し込むなんて、ひどすぎますね)をあとにしたのでした。


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とても話がズレていますが、教育について (ぱんく)
2011-02-03 23:15:50
こんばんは、やっぴ様お元気ですか?
ここ最近試験やらレポートやらに追われていたのですが、やっとコメントする余裕が出来ました。まだ全ては終わっていないのですが(笑)

この記事を読んで思い出したことについてコメントさせていただこうと思います。
昨年の12月あたりにPISAの結果が発表され、その直後に開かれた公開シンポジウムに参加した時の話です。
PISAの結果は日本は上位をキープし読解力は少し上がったとなっていましたが、実際はどうなのでしょう。学んだ知識を実生活の中でしっかり応用できているのでしょうか。
PISAの順位が良くても、宿題や家で自主的に学習をしていますか?という調査では日本はとても順位が低いです。つまり日本の子供は嫌々知識を詰め込まされ、勉強をしているということですよね。自分も、その中の一人でしたが…。
あんなに勉強したのに、今ではすっかり忘れてしまったという大人は多いのではないでしょうか。そりゃあ好きで勉強した訳ではないのにいつまでも覚えているはずはないです。そう考えると、やっぱり日本の教育は本当に短命なのだなあと感じます。そして、PISAの結果とは違い、知識を実生活で応用出来ない大人が育っていっているように思うのです。

そのシンポジウムでは、今後の日本の教育がPISAとどう向き合うかという議論がなされていたのですが、この短命さを打開するようなお話はあまり聞くことが出来ませんでした。PISAの順位が上がる事は悪いとは決して思いません。しかし、PISAに踊らされ、ゆとり教育にしたり詰め込み型にしたり、日本の教育はユラユラしていてどうもよく分かりません。PISAがカリキュラムの基盤となっているとは言いませんが、子供たちが可哀想に思えました。というより、自分はゆとり教育を受け育ったのですが、すこしムッとしてしまいました。自分が受けてきた教育とはなんだったのだろう?と、文科省に実験体にされた気分になったからです。ゆとりは駄目だったからじゃあもう少し詰め込みにしようなんて、子供を何だと思ってるんだ!と思ったからです。

また、シンポジウムでは、PISAによって犠牲にされたものがあるのではというお話がありました。順位が上がっても現場の先生たちにはいまいち実感が持てない。むしろ逆に不自由になり、束縛感が強くなったということです。やはり数字だけでは理解できない問題です。結果を出さなくてはと焦り追い込まれている教師たちを思うと、やはり日本の教育は何がしたいのか分からなくなります。

とても長くて意味不明な文章となってしまいましたが、つまりはPISAのリテラシーの概念を正確に受け取り、順位を競うのではなく、子供たちが応用力のある大人になるような教育を考えた方が良いのでは?
それは難しいけれど、どうせ大人になったら忘れてしまう知識を嫌々詰め込むのはおかしいのでは?
ということです!
そんなこと言ってないでレポートを早く終わらせなさいと怒られてしまいますね。
それでは長文失礼しました。やっぴ様お元気で!
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よく分かります。 (やっぴ)
2011-02-03 23:41:08
ぱんくさん
熱のこもったコメントをありがとうございました。

面白そうなフォーラムに参加できてうらやましいです。PISAについては、いずれまとめて書こうと思っていながら、手をこまねいていました。PISAがすべてではない、という人もいますが、私は、今の日本の教育は、PISAをしっかりとらなくてはならないのではと思っています。いえ、順位に一喜一憂するのではなく、そもそもPISAが測ろうとする「学力」をちゃんと理解すべきだと思うからです。

ぱんくさんおっしゃるとおり、「知識」だけでは社会に通用しないことがますます明らかになってきているわけで、これからの社会に必要な「学力」とは何か、そして、学校もそこをちゃんと目指すような形にしていかなければと思っています。

そうなると、結果として出てくるのが「キャリア教育」の考え方なのです。職業人として、「仕事人」として、社会人としてしっかり生きていけるような教育を私たちは子どもたちに提供しているのか?もちろん、学校だけではなく、家庭教育も、地域での教育も。みんな同じ方向を向くための理念が、キャリア教育にいっぱい詰まっています。

ぱんくさんのような若い方がいらっしゃることはとても心強く思います。ありがとうございます。
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