
Mission to Mars
2000年/米国/114分
監督 ブライアン・デ・パルマ
出演 ゲイリー・シニーズ/ジム・マコーネル ティム・ロビンス/ウッディ・ブレイク ドン・チードル/ルーク・グラナム コニー・ニールセン/テリー・フィッシャー
「2020年、初めて火星に降り立ったマーズ1号の乗務員たちは順調に探査を続けていた。ところが突然、彼らからの交信が途絶える。地球軌道上にいたマーズ2号の乗務員たちが救出に向かうが…。」(AmazonのDVD説明文より)
…これだけで私はもうわくわくしてしまう。火星にきっと「何か」がいたんだ! あの「人面岩」をつくったような!

「人面岩」というのは、ご存じの方も多いと思いますが、1976年の米国の火星探査船バイキング1号が撮影した火星表面の写真の中に発見された、アレです。長さ3km、幅1.5kmにも及ぶ巨大な「顔」。NASAは、たまたま光と影のバランスで顔のように見えているだけ、と味も素っ気もないコメントを発表しましたが、いや、あれはどう見ても顔だ。写真を拡大してみると眼球も描かれているし、口には歯も見える。つまり、何らかの生命体が人工的につくったものである。「火星人」かもしれないし、もしかしたら古代地球人かもしれない…云々かんぬん、世の好事家たちの話題としては絶好の素材となりました。
この「論争」に決着がつけられたのは25年後のことでした。1996年にNASAが火星に送り込んだマーズ・グローバル・サーベイヤー号は、20年前と比べようのないほど高解像度のカメラで火星表面を撮影、2001年にはその写真が公開され、「顔」が「顔ではない」ことを見せつけました。ま、確かに、目を細めて写真を眺めると、まだ顔に見えないこともないのですが、バイキングの写真がやはり「光と影」の偶然がもたらしたものであることは明らかですね。しかし、「火星からのメッセージ」を信じる人たちはそれでもあきらめない。サーベイヤー号の写真はカメラアングルに問題があったとかNASAが写真を加工したのだとか、あくまでもあれは「顔」だと言い張っています。

映画「ミッション・トゥ・マーズ」は、この「人面岩」がモチーフになっているらしい。もっとも、映画に登場する、古代火星人がつくった「顔」は、長い年月のもとですっかり土に覆い隠されてしまっていて、すっかり「山」にしか見えない状態。そうとは知らない宇宙飛行士たちは、「山」に近づき、そして…。
ブライアン・デ・パルマ監督って、なんかつかみどころのないヒトですよね。 「キャリー」(1976年)、「フューリー」(1978年)と 立て続けにオカルトものを連発したかと思えば、「殺しのドレス」(1980年)ではヒッチコックばりのサスペンスを見せてくれ、そうかと思うと「スカーフェイス」(1983年)、そして名作「アンタッチャブル」(1987年)という暗黒街路線。1996年には「ミッション・インポッシブル」という娯楽サスペンス。そして、「MI-2」を断ってまでメガホンをとったのがこの「ミッション・トゥ・マーズ」というわけです。同じミッションでも、こっちは火星。舞台は宇宙空間。当然、CGがふんだんに使われています。時代の流れとはいえ、同じ監督でこうも作風が変わるものか。「ミッション・トゥ・マーズ」の冒頭シーン、明日長い火星への旅に出発する宇宙飛行士たちがガーデンパーティをする場面があります。最愛の妻を亡くしたらしい演じるジム(ゲイリー・シニーズ)が、夜の庭をしんみり歩くシーンがあって、あのシーンは唯一、「昔」のブライアン・デ・パルマらしいなと思いました。
この映画の公開時の評判はさんざんなものでした。私にはあの謎解きはけっこうおもしろかったんですけどね…。もちろん、ティム・ロビンスとかドン・チードルといった名優たちを「生かし切っていない」という点は認めますが、あの悪役顔のゲイリー・シニーズが、最後にいいこと(?)をするんだからいいんじゃないですか~!
それよりなにより、火星と地球が実は「つながっていた」という設定がいい。つい最近、太陽系に新たな惑星発見か?というニュースがありました。びっくりさせられますね。太陽系の中でさえ、まだ発見されていない惑星があるとは。私たちは、この広大な宇宙の中で、ほんのご近所でしかない太陽系のことさえちゃんとわかっていないのです。地球に一番近い惑星である火星だって、まだまだ謎だらけ。昔々の遠~い昔、火星から人類の祖先の祖先の祖先がやってきたとしたって何の不思議もない。
そういう「可能性」があることをこの映画は教えてくれます。人間は、隣の火星に行くのだって3年以上もかかる。もっと謙虚になりましょうよ、と老体のブライアン・デ・パルマは言いたいのですな。きっと。
「ミッション・トゥ・マーズ」≫Amazon.co.jp
2000年/米国/114分
監督 ブライアン・デ・パルマ
出演 ゲイリー・シニーズ/ジム・マコーネル ティム・ロビンス/ウッディ・ブレイク ドン・チードル/ルーク・グラナム コニー・ニールセン/テリー・フィッシャー
「2020年、初めて火星に降り立ったマーズ1号の乗務員たちは順調に探査を続けていた。ところが突然、彼らからの交信が途絶える。地球軌道上にいたマーズ2号の乗務員たちが救出に向かうが…。」(AmazonのDVD説明文より)
…これだけで私はもうわくわくしてしまう。火星にきっと「何か」がいたんだ! あの「人面岩」をつくったような!

「人面岩」というのは、ご存じの方も多いと思いますが、1976年の米国の火星探査船バイキング1号が撮影した火星表面の写真の中に発見された、アレです。長さ3km、幅1.5kmにも及ぶ巨大な「顔」。NASAは、たまたま光と影のバランスで顔のように見えているだけ、と味も素っ気もないコメントを発表しましたが、いや、あれはどう見ても顔だ。写真を拡大してみると眼球も描かれているし、口には歯も見える。つまり、何らかの生命体が人工的につくったものである。「火星人」かもしれないし、もしかしたら古代地球人かもしれない…云々かんぬん、世の好事家たちの話題としては絶好の素材となりました。
この「論争」に決着がつけられたのは25年後のことでした。1996年にNASAが火星に送り込んだマーズ・グローバル・サーベイヤー号は、20年前と比べようのないほど高解像度のカメラで火星表面を撮影、2001年にはその写真が公開され、「顔」が「顔ではない」ことを見せつけました。ま、確かに、目を細めて写真を眺めると、まだ顔に見えないこともないのですが、バイキングの写真がやはり「光と影」の偶然がもたらしたものであることは明らかですね。しかし、「火星からのメッセージ」を信じる人たちはそれでもあきらめない。サーベイヤー号の写真はカメラアングルに問題があったとかNASAが写真を加工したのだとか、あくまでもあれは「顔」だと言い張っています。

映画「ミッション・トゥ・マーズ」は、この「人面岩」がモチーフになっているらしい。もっとも、映画に登場する、古代火星人がつくった「顔」は、長い年月のもとですっかり土に覆い隠されてしまっていて、すっかり「山」にしか見えない状態。そうとは知らない宇宙飛行士たちは、「山」に近づき、そして…。
ブライアン・デ・パルマ監督って、なんかつかみどころのないヒトですよね。 「キャリー」(1976年)、「フューリー」(1978年)と 立て続けにオカルトものを連発したかと思えば、「殺しのドレス」(1980年)ではヒッチコックばりのサスペンスを見せてくれ、そうかと思うと「スカーフェイス」(1983年)、そして名作「アンタッチャブル」(1987年)という暗黒街路線。1996年には「ミッション・インポッシブル」という娯楽サスペンス。そして、「MI-2」を断ってまでメガホンをとったのがこの「ミッション・トゥ・マーズ」というわけです。同じミッションでも、こっちは火星。舞台は宇宙空間。当然、CGがふんだんに使われています。時代の流れとはいえ、同じ監督でこうも作風が変わるものか。「ミッション・トゥ・マーズ」の冒頭シーン、明日長い火星への旅に出発する宇宙飛行士たちがガーデンパーティをする場面があります。最愛の妻を亡くしたらしい演じるジム(ゲイリー・シニーズ)が、夜の庭をしんみり歩くシーンがあって、あのシーンは唯一、「昔」のブライアン・デ・パルマらしいなと思いました。
この映画の公開時の評判はさんざんなものでした。私にはあの謎解きはけっこうおもしろかったんですけどね…。もちろん、ティム・ロビンスとかドン・チードルといった名優たちを「生かし切っていない」という点は認めますが、あの悪役顔のゲイリー・シニーズが、最後にいいこと(?)をするんだからいいんじゃないですか~!
それよりなにより、火星と地球が実は「つながっていた」という設定がいい。つい最近、太陽系に新たな惑星発見か?というニュースがありました。びっくりさせられますね。太陽系の中でさえ、まだ発見されていない惑星があるとは。私たちは、この広大な宇宙の中で、ほんのご近所でしかない太陽系のことさえちゃんとわかっていないのです。地球に一番近い惑星である火星だって、まだまだ謎だらけ。昔々の遠~い昔、火星から人類の祖先の祖先の祖先がやってきたとしたって何の不思議もない。
そういう「可能性」があることをこの映画は教えてくれます。人間は、隣の火星に行くのだって3年以上もかかる。もっと謙虚になりましょうよ、と老体のブライアン・デ・パルマは言いたいのですな。きっと。
「ミッション・トゥ・マーズ」≫Amazon.co.jp
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