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カクレマショウ

やっぴBLOG

答えは「現場」にあるが、ヒントは「外」にある。

2008-02-20 | └キャリア教育
新しい学習指導要領が公表されましたが、報道されているように、「ゆとりから学力向上へ」という傾向がはっきりと見てとれる内容となっています。この学習指導要領に従って学校での教育が行われるようになれば、なんだかんだ言っても、結局は、知識の「詰め込み」教育に逆戻りするのは明らかですね。そうではない、という人が意外と多いことには驚くのですが。

昔、学校に勤めていたころ、生徒の服装の乱れやら家庭学習の少なさがたびたび会議の話題になりました。たびたび、というより恒常的に、と言ったほうがいいか。そのたびに、様々な「指導」の手立てが講じられることになるわけですが、ある先生が、「小手先だけの指導をいくら加えても根本的には何も解決しない」といつも発言していました。そういう意見に賛同する教員はもちろん圧倒的に少なく、「根本的な見直し」とか「方向性の転換」が図られることは決してなかったのですが、今思えば、あの意見は実に魅力的に思えます。

家庭での勉強時間を増やすことは確かに大事かもしれない。しかし、生徒自身が「その気になる」ことなしには、いくら机に向かっている時間が増えてもしょうがないのです。言い換えれば、「何のために自分はこんなに勉強するのか」という答えを持っているかどうか。もちろん、志望する大学に受かるため、という「答え」はあるかもしれない。それはそれで「目標」としてはすばらしい。でも、「目標」の先にあるはずの「目的」が見えているのか。目指す大学に合格するというのは、「目的」に向かうための「手段」だということに気づいているのか。

生徒が「目的」を明確にすることは、しかしとても難しい。そもそも「目的」は「持たせる」ものではなく、「自ら持つ」ものです。学校という狭い世界の中だけでは、いくら優秀な教員がいたとしても、「自ら持つ」ように仕向けるということさえ難しいでしょう。

昨夜のNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」で、織物機械の世界で革命を起こしている社長が、「答えは現場にあるが、ヒントは「外」にあるものだ」というようなことを言っていました。彼は、機械の熟練工でも織物職人でもない。「素人」だからこそ新しい発想ができるのだとも言っていました。

子どもたちを「目的」を持った一人前の大人にしていくためには、学校(というか教員)ももっといろんな世界に目を向ける必要があるでしょう。子どもたちそれぞれが持つ「答え」を引き出すためのヒントは、「外」にいっぱい転がっています。それを子どもたちの前にどういう形で「見せる」かが先生の大きな仕事ではないのでしょうか。

たとえば新聞には毎日のように、そうした”ネタ”が載っています。たまたま今日の新聞では、JALの機長が学校で地球環境について語るという「そらいく」(「空の教育)の紹介記事がありました(読売新聞)。また、数日前の朝日には、社会保険労務士が子どもたちに公的年金制度について授業を行っているという事例もありました。それぞれの分野でプロフェッショナルな大人たちが、どんどん、子どもたちのために一肌脱ごうとしてきています。こういうチャンスを見逃す手はないと思いますね。

新しい学習指導要領にがんじがらめにされて、いったいどこにそんな時間があるんだ!と多くの先生は言うかもしれません。でも、そんな学習指導要領でさえ、「キャリア教育」という網の中にすっぽり収めることだってできる。「小手先」ではない学校の変化、改革。そのエンジンになるものこそ、キャリア教育だと思います。ゆとりだろうが、基礎学力向上だろうが、キャリア教育はそのどちらをも推し進めることができる超強力なエンジンなのです。



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