カクレマショウ

やっぴBLOG

学校の進路指導部というところ。

2006-05-24 | └キャリア教育
どの高校にも「進路指導部」というのがあって、進路指導計画に基づいて学校全体の進路指導を担当しています。

各学校の進路指導のタイプは、生徒の進路先によって、大きく3つくらいに分けられるようです。

1 進学を主とする学校
2 就職を主とする普通高校
3 就職を主とする専門学校(農・工・水産・商)
※そのほかに、定時制・通信制課程もある。

県内各学校の進路指導の取組について話を聞く機会がありました。

「進学を主とする学校」については、当然のごとく、進路指導=大学への受験指導です。難関と言われる大学、国立大学(正確には今は「国立」ではありませんが)にいかに多くの生徒を合格させるか、そのノウハウが競われます。教科や学年と連携して、生徒の「学力」(難関大学の入試を解ける学力)を挙げるための必死の努力がうかがわれます。

しかし、「進学校」と呼ばれる高校ほど、生涯を見通したキャリア教育を念頭に置いた進路指導は行われていないような気がします。もっとも、たとえば医学部を目指そうとする生徒は、医者になるという将来のキャリアプランが見えているわけですから、あえて生涯のキャリア云々の指導は必要ないのかもしれません…。

ただ、それはほんの一部の「優秀な」生徒であって、大多数の生徒は、将来の展望がそれほど明確でないままに、現在の自分の「学力」に見合った大学を選んでいるのではないでしょうか。大学に入ってから考える、でもいいとは思うのですが、高校生の段階で自分の将来について真剣に考えられない、あるいは考えようとしない子どもが、大学生になって、突然考えられるようになるとは到底思えません。

また、医者になるという明確な将来像を描ける子でも、それじゃ「どんな医者になるのか」という問いに答えられる子はそんなに多くはないかもしれない。それは、「医学部に入学させる」ことを目的とする進路指導ではできない、まさに「キャリア教育」の範疇に含まれる部分だと思います。

やはり、「大学合格至上」の学校にあっても、受験指導だけではないキャリア教育は必要です。

一方、就職を主とする生徒が多い学校はどうでしょうか。現在の取組を見ると、学校によっては「総合的な学習の時間」などを使って3年間を通した体系的なキャリア教育を行っている学校ももちろんありますが、それはまだごく少数です。特に県内での就職については求人数や職種が限られる現状が続く中で、従来型の「就職指導」に汲々としている感じを受けました。

各校の就職指導において最近よく目を引くのが「ジョブカフェあおもり」との連携です。「ジョブカフェ」とは、学生、生徒、フリーターの人たちの就職を支援する若年者就職支援センターです。「ジョブカフェあおもり」は、全国のジョブカフェの中でももっとも成果を挙げているとして昨年度の「ジョブカフェ大賞」を受賞しています。利用者数も、2万9,086人から一気に増えて昨年度は4万6,607人。「ジョブカフェあおもり」の特徴は、充実したキャリアカウンセリングと、学校へのアプローチです。特に、学校との連携については、生徒がジョブカフェを訪問する体験事業や、キャリアカウンセラーが中学校・高校に無料で出向いてキャリアに関する指導を行うデリバリー(派遣)事業など、実に精力的な活動を展開しています。

ただ、高校へのデリバリーについては、「就職を主とする学校」に対するものがほとんどで、「進学校」からのニーズは少ないようです。しかし、進学にしろ就職にしろ、いずれは社会に出ざるを得ないわけですから、高校段階で生涯のキャリアプランについて体験的に学ぶことは、とても大切なことだと思います。

学校でよく使われる「進路達成」という言葉には少し引っかかりを感じます。「高校卒業時における進路志望を達成した」という意味なのでしょう。でも、それは「達成」ではなく、高校を出た時に一つの「進路選択」をしたにすぎない。人間、生きている限り、常に進路達成を目指しているわけですから。「進路達成」という言葉を、あまり狭い意味で使わない方がいいんじゃないのかーと思っています。

「進路指導」が「キャリア教育」、「進路相談」が「キャリアカウンセリング」と、呼称が変わりつつあります。言い方は変わっても中身は同じだと言う人もいますが、やっぱり中身も変えていかないといけないのではと思います。これまで培ってきたノウハウは生かしつつ、新しいノウハウや新しいビジョンで「生徒一人一人の進路選択」を可能とする「進路指導」を行う。

その方針をはっきりさせるためには、「進路指導部」を「キャリア教育部」に名称変更する、くらいの英断も必要なのでは?


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