カクレマショウ

やっぴBLOG

暴力の応酬は何の解決にもならない。

2004-09-03 | ■世界史
ある民族が、支配されている国から独立をしたいと願ったとする。民族も宗教も習慣も異なる人の支配を受けたくない、独立して自分たちの国を持ちたいと願ったとする。ところが、歴史上、その願いが平和的に叶えられたことはほとんどありません。

ロシア連邦の構成国の一つであるチェチェン共和国の場合も、ロシアからの独立を叫びながら、力ずくでそれが押さえ込まれてきました。チェチェン共和国は、黒海とカスピ海にはさまれた北カフカス地方に位置する面積は岩手県ほどの小さな国です。人口は約127万人、そのほとんどがイスラム教徒です。

2度にわたるチェチェン紛争(ロシア・チェチェン戦争)は、ロシアによるチェチェン独立阻止の戦争だった。その結果、国土は荒廃し、20万人以上の難民を生みました。ロシア駐留軍による民間人への暴行、略奪も跡が絶えなかったと言われています。

そのチェチェンの西隣に位置する北オセチア共和国で、今、大変な事件が起こっています。

9月1日の新学期が始まった日、中学校に武装グループが押し入り、生徒や保護者、教員らを人質にしてたてこもったのです。彼らの要求は、チェチェンからのロシア軍の即時撤退と逮捕されているチェチェン人の即時釈放でした。3日間にわたる立てこもりののち、今日になって治安部隊による強行突破が行われ、その混乱の中で数十人から数百人が犠牲になったと報道は伝えています。

とっさに思い出したのは、2年前のモスクワにおける劇場占拠事件でした。あのときもチェチェンからのロシア軍撤退が求められ、しかし、結末は悲惨なものでした。特殊部隊による強行突入時に使われた特殊ガスで人質128人が死亡、犯人グループ41人も射殺されました。

頑としてチェチェンの独立を認めないロシアにももちろん大きな問題はあります。どんな状況にせよ、独立したいという意志がある以上それを阻むのは間違っていると思います。

しかし、いくら要求がかなえられないからといって、今回のような子どもたちを巻き込んだテロ行為は決して許されることではありません。力に対する力の報復は、憎しみの泥沼を招くだけです。何の解決にもならないことになぜ気づかないのでしょうか。

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