ヒチコックの世界が、また1歩、私たちに近づいてきた。

ヒチコックの代表する映画に「鳥」と言うものがある。最初に映し出されているのは、のどかにさえづりあう小鳥であったが、徐々に、見ているものを恐怖に誘う。鳥は時間を追うごとに、その数を増し、振り返ると電線と言う電線にカラスがびっしりとまっている。そして、ついに、一斉に、人間を襲ってくるというものだ。その恐怖心をあおる手法は恐怖映画が好きでない私でさえ、映画に引き込まれていくような名作であったが、その「鳥」に刺激されたのだろう。以後、映画の世界だけでなく、小説の世界でも、動物が人間を襲うものが数多く出版された。その中に、「鼠」というものがあった。都会の鼠が集団化して、暴走し、人間を襲ってくるというものであった。その日、主人公は、「今日、やけに鼠が目に付くな。」と思う。だが、その瞬間、その鼠たちが一斉に、大群となって、押し寄せてくるというものだ。しかし、これは小説の世界である。仮想空間の世界と言っても良い。現実の世界では起こりえないことなのである。だが、フランス北部ルーベ（Roubaix）で1日夜、自宅のベッドに横たわっていた14歳の少女がネズミの群れに襲われた。彼女は左右対称性のまひの症状で、医療用ベッドに無防備な状態で横たわっていた。そこを鼠の大群が襲ったのである。彼女は体中を225か所もかまれたりしたそうだが、幸い、命はとりとめたようだ。ヒチコックの世界が、また1歩、私たちに近づいてきた。(2017.09.10)

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