川崎の老人ホームで、入居者がベランダから突き落とされる事件があった。犯人が捕まり、その過去が洗い出されている。だが、私が最も気になるのは、この老人施設のスタンスである。社長なる人物がマスコミの前に初めて出てきて、この犯人が普通の人ではなかったと確信気に語りだしたのである。まるで、旭化成工業のくい打ちの社員のように、この人だけが犯人で、特殊な出来事であったのだと言い始めているのである。もちろん、この犯人の行動は異常だ。病的な犯行で、許せるものではないのだが、私が気になるのは、この老人施設のベランダから転落して、亡くなった方が3人もいたということだ。最初に亡くなられた方が出た時に、施設は何をしたのだろう。事件にしろ、事故にしろ、再発防止に努めなければならなかったはずである。その場所で、入居者たちがどのような行動をするかを監視する防犯カメラ1台でもつけたのだろうか。その時の社員の行動をチェックしたのだろうか。チェックしたうえで、放置したのなら、会社にも大きな責任があるはずだ。少なくとも、犯人だけに、罪を擦り付けて、平然と社員を悪しざまに言える立場に社長はないはずである。そもそも、この犯人を雇ったのは、この会社であり、この社長なのだ。(2016.2.17)
