今年のヨーロッパ経済に大きな影響を与える問題としてブリグジット（英国のＥＵ離脱問題）がある。保守党のキャメロン党首が言い出したことで、難民受け入れ問題やら、ギリシャ救済のための拠出などに嫌気を刺した同党が、この離脱問題を国民投票にかけるとしているのである。だから、今年5月7日に行われるイギリスの総選挙が注目されている。仮に、保守党が勝てば、確実に、年内にＥＵ離脱を問う国民投票が実施される。今のところ、専門家の判断は離脱支持者は４０％程度で、拮抗しているとはいえ、残留になるだろうとしているが、選挙戦に勝利した余韻もあり、どうなるか分からない。経済評論家はイギリスの長期債が売られると脅しをかけているが、身近に迫る難民の前に、そんなことは打ち消されるかもしれない。イギリスがＥＵから離脱すれば、間違いなく、それに続き、ギリシャが離脱することになる。ＥＵ崩壊の波が起こりかねない。そして、もう一つの可能性だが、仮に、保守党が破れ、労働党政権が誕生した場合には、スコットランド民族党（SNP）との連立政権が想定され、スコットランドの独立の機運が盛り上がることになる。ヨーロッパをまとめていこうというベクトルが、向きを逆転させ始めたのである。(2016.2.19)
