風塵社的業務日誌

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晴れた空

2009年05月15日 | 出版
昨夜は都内某所にお仲間と落ち合い、酒を飲む。長老格で70を越えているYさんが、「最近悩んでいることがあって、悩みを聞いてよ」と、話を切り出した。なんだろうと思ったら、「いま、総入れ歯なんだけれど、インプラントにしようと思って歯医者に行って説明を聞いたら、6本入れるのに250万かかるって言うんだよね。これまでめったに悩んだことなんてないのに、どうしようかなあと悩み始めちゃって、まだ決めあぐねている」とか。
「インプラントにすると、何かいいことがあるんですか」とだれかがたずねると、「入れ歯だと噛む力が弱くなっちゃうから、どうしても食べ物の味が感じられないけれど、インプラントだとしっかり噛むことができる。でも、この先の人生を考えると、そのために250万というのは、微妙な金額なんだよ。それにかなりの確率で成功するらしいけれど、失敗がなくはないし、酒とタバコは入れ歯でもまったく支障がないからねぇ」。
なるほど、250万とは確かに微妙な金額だ。実直に働いてきて老後を迎えている人には、手が届かなくもない。ところが、そこまでの対費用効果となると残り時間との兼ね合いが問題になる。そこである友人が、「それなら金歯にすれば、死後も残りますよ」と冗談をかますので笑っちゃった。
その場に遅れてやってきた某弁護士が、ザ・タイマーズの「デイドリーム ビリーバー」の替え歌で裁判員制度批判の歌を作ったと、その歌詞を持ってくる。一同、眼が点。おいおい、大丈夫か?確かに、小生も裁判員制度には反対だけれど、一方で、裁判員が当るのも悪くないなあと内心考えている。なんと言っても、相手のツラを見ながら直接、検察を正面から批判できるわけだ。そんな機会はめったにないのだよ。なんて言ったら、「おまえのところに通知が来るわけないだろ」と突っ込まれる。そりゃそうだ。
22:30に帰宅し、あとは爆睡。ところが妻によると、夜半に布団をはねのけてガバッと上半身だけ起き出し、座ったままガーガーといびきを立てて寝ていたそうだ。当然のことながら、下半身が起き出すことはない。
そんなわけで7:00前に起床し、弁当を作り、コーヒーをポットに詰めてから会社に向かう。ここ数日べたつくような感じがしていただけに、本日は、カラッと晴れ上がり気持ちがいい。池袋までてくてく歩きながら、こういう日はいいアイデアが浮かんでもいいんだけどなあと思うのであるが、名案がなにも思い浮かぶこともなく池袋に到着。くだらねえ。
地下鉄に乗りながら、読みさしの『日本の中世を歩く』(五味文彦著、岩波新書)を開く。中世史の荘園研究って、はまると、めちゃめちゃ面白いらしい。というか、中世史研究がそもそも荘園研究なのだろう。
小生は荘園の「し」の字も触れたことがないから、その醍醐味がまったく理解できないけれど、中世史の場合、主だった史料が刊行物となっているので、古文書読解の苦しみは味わわなくてすむ(古文の読解力は必要)。で、ある荘園の領主がどう変わり、またその領主はどうなり、そこでどんな事件があったのかというミクロな部分から、物流や経済発展がどういう影響を与えてきたかというマクロな部分まで、分析の切り口もいろいろとあるようだ。そのうえ、当時の地名や文物、習俗が現在にも伝わっている部分もあるので、当時のイマジネーションがかきたてられるらしい。
面白そうだけれど、しかしお金には縁遠そうなので、中世史を志さなくてよかったと思う次第。そういうわけで、10:00に出社し、お仕事に励まなければならない。明るい空を見上げると、穴倉の奥底のようなところで仕事をしているよりも、愛人と厳島神社にでも出かけ、仕入れたばかりの知識をひけらかしている方が楽しいような気もするけれど、世間はそんなに甘くない。
11:00過ぎ、M印刷Sさんが、とっくに終わったと思っていたゲラを持ってこられて、最終の直しを頼みます、と。直しの量がそれほどでもないので、シャカシャカ直すことにする。途中昼飯。わが手作り弁当は、どうしてこんなにうまいのか。
12:50、大阪から某氏が某件でご来社。お互いに了承済みなのでスムーズに話は終わり、某氏は原宿へと向かわれる。東京に出てきてあちこち回らないといけないので、忙しそうだ。こちらは、M印刷さんに直したデータを送信。もうこのゲラの直しが来ませんように。お次のM印刷さんの仕事に入る。これは、昨日索引項目の拾い出しは終わっているので、あとはデータを整形して、DTPに流し込むだけ。15:30に終わり、送信。ようやく一息ついて、囲碁の時間である。集中が続いたので、とてもじゃないが仕事などやる気がわかない。
17:00過ぎ、M印刷Sさんがお次の仕事を持ってくる。からだは二つないぞ、早く自社の企画を進めないと困ったことになる。
これから某所へ。

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グフフフフ。所詮は、みんな人の子なのである。

日本の中世を歩く―遺跡を訪ね、史料を読む (岩波新書)
五味 文彦
岩波書店

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