名古屋に住んでいる小生の母も、認知症がいよいよ進んできたようだ。時おり、わが家に母から電話がかかってきては、わけのわからんことをしゃべり始める。さしさわりのある内容なので、そのわけのわからない中身は記せないが、明らかに脳ミソが後退している。近くに兄夫婦が住んでいて、義姉がちょくちょく母の許に通ってくれているそうだ。すっかり丸投げで、こちらとしても申し訳ない気持ちではあるけれど、母と会うのも面倒だなあというのが正直なところなのだ。正確に思い出せないのだけれど、「お母さん、親不孝めが生きている」というような詩を書いていたアナキストはだれだったっけ。
数週間ほど前、母からくだらない電話があり、少し心配になったので義姉に電話してみた。すると、「いっとき治まっていたんだけど、また最近ひどくなっちゃって、お母さんのお母さん（小生の祖母）の姿が見えたりするんだよ」げな。ホゥ、川の向こうからお呼びがかかっているようだ。ならば、逝ってよし！というところか。実はあまり会いたくはないのだけれど、それならば、この連休中に今生の別れでもしておこうかなと考える。しかし、お金がないときは、なにごとにも腰が重くなるものなのだ。名古屋までの往復の電車賃を想像しただけで、死ぬまで母とは会わなくてもいいかと思いなすことにした。
母にはあまり会いたくないけれど、可愛がっている姪っ子がこの春に看護士の試験をパスできたので、兄のガキらには会ってもいいかなと思う。その姪には「おまえは金持ちを見つけて、トットと結婚しろ」と、電話でお祝いかたがた述べておいた。すると、看護士試験をパスしたばかりというのに、「ウン、そうする」と珍しく素直に応じる。「それでさあ、ちょっとおじさんの頼みを聞いて」「エーッ、なあに？」と露骨に警戒を示す。「実は、人体実験をしてほしいんだよ」「なにそれ！」と今度は不快を示す。そこで、「おまえがさあ、トットと結婚するだろ」「うん」「ガキつくるだろ」「うん」「それで、ガキが３歳くらいになったら、囲碁と合気道を教えてやってほしいんだ」「えー、なんで？」「だから人体実験って言ってるだろ。幼児教育で囲碁と合気道をやったら、どういうふうに成長するのかを知りたいのだ」「水泳じゃダメなの？」「水泳なんてやったってバカにしかならないのは、おまえのネーチャン見てたらわかるだろ」
ところでこの実験は、囲碁と合気道である必要はない。もちろん、囲碁ではなく将棋やチェスでもかまわないし、合気道以外の格闘技でも問題ないだろう。特に名古屋の場合、藤井聡太のおかげで将棋熱が現在盛んなことだろう。ところが小生は将棋をよく知らないので、囲碁と言っているだけである（ここで、知っているとはなにかという議論はやめておきたい）。要は、考えることに集中するボードゲーム系と、身体動作に集中する格闘技系を幼いころから始めたら、その子の集中力はかなり伸びるのではなかろうかという小生の勝手な仮説を検証してもらいたいということだ。集中力を高めるトレーニングとしては、ヨガ系なり自律神経訓練なりもあるだろうけれど、合気道を挙げたのは、その要素も含まれているだろうとこれまた勝手に想像しているからである（小生は合気道をしたことがない）。
すると姪が、「わたし、意外にオセロ得意だよ」と自慢げに話す。「オセロが複雑になったのが囲碁なんだよ。それでだな、ガキに囲碁を覚えさせようとしたら、まずはお母さんが囲碁を知らなければどうしようもないだろ」「そうだね」「行ったことないけど、日本棋院中部総本部というのが名古屋拘置所の近くにあるはずだから、そこに行けば初心者に囲碁の打ち方を教えてくれるぞ」「なにそれ？」「そういうのがあるんだよ。おまえも腹巻家のDNAが少しは入っているんだから、やったら強くなるかもしれないぞ」「フーン」
DNAで囲碁が強くなれるとは思わないけれど、小生が囲碁に熱心になったのは25を過ぎてからである。ルールだけは中学３年生のときに覚えたというのに、そこからずいぶんとブランクを置いてしまったのがいまだに悔やまれるとは、以前にも記したことだったか。それを20くらいから始めれば、すぐに小生ごときは追い越すかもしれない。姪っ子が囲碁を始めたら趙治勲先生の『ひと目の詰碁』（MYCOM囲碁文庫）と『お悩み天国』（日本棋院）でも贈ってやりたいところだが、牛を水場に連れていくことはできても飲ますことはできない。そこで、その妹に電話を替わってもらう。こいつは、この春に某高校に入学したところだ。
「いいか、おまえなあ。高校に入ったら、これまでのようにボーっと生きてるわけにいかないぞ。大変なんだ」と、まずはカマしておく。すると、「そうだよねえ」と素直な返事。そこで畳み掛け攻撃に入る。「高校生になってコンビニに入ったら、万引きしなきゃいけないだろ。ホームセンターに行ったら、シンナー吸わなきゃいけないだろ。スーパーじゃ、食い逃げしないといけないだろ。本当に大変なんだぞ」「お母さ～ん、アタマのおかしいオジサンが電話でヘンな話ししている～！」
数週間ほど前、母からくだらない電話があり、少し心配になったので義姉に電話してみた。すると、「いっとき治まっていたんだけど、また最近ひどくなっちゃって、お母さんのお母さん（小生の祖母）の姿が見えたりするんだよ」げな。ホゥ、川の向こうからお呼びがかかっているようだ。ならば、逝ってよし！というところか。実はあまり会いたくはないのだけれど、それならば、この連休中に今生の別れでもしておこうかなと考える。しかし、お金がないときは、なにごとにも腰が重くなるものなのだ。名古屋までの往復の電車賃を想像しただけで、死ぬまで母とは会わなくてもいいかと思いなすことにした。
母にはあまり会いたくないけれど、可愛がっている姪っ子がこの春に看護士の試験をパスできたので、兄のガキらには会ってもいいかなと思う。その姪には「おまえは金持ちを見つけて、トットと結婚しろ」と、電話でお祝いかたがた述べておいた。すると、看護士試験をパスしたばかりというのに、「ウン、そうする」と珍しく素直に応じる。「それでさあ、ちょっとおじさんの頼みを聞いて」「エーッ、なあに？」と露骨に警戒を示す。「実は、人体実験をしてほしいんだよ」「なにそれ！」と今度は不快を示す。そこで、「おまえがさあ、トットと結婚するだろ」「うん」「ガキつくるだろ」「うん」「それで、ガキが３歳くらいになったら、囲碁と合気道を教えてやってほしいんだ」「えー、なんで？」「だから人体実験って言ってるだろ。幼児教育で囲碁と合気道をやったら、どういうふうに成長するのかを知りたいのだ」「水泳じゃダメなの？」「水泳なんてやったってバカにしかならないのは、おまえのネーチャン見てたらわかるだろ」
ところでこの実験は、囲碁と合気道である必要はない。もちろん、囲碁ではなく将棋やチェスでもかまわないし、合気道以外の格闘技でも問題ないだろう。特に名古屋の場合、藤井聡太のおかげで将棋熱が現在盛んなことだろう。ところが小生は将棋をよく知らないので、囲碁と言っているだけである（ここで、知っているとはなにかという議論はやめておきたい）。要は、考えることに集中するボードゲーム系と、身体動作に集中する格闘技系を幼いころから始めたら、その子の集中力はかなり伸びるのではなかろうかという小生の勝手な仮説を検証してもらいたいということだ。集中力を高めるトレーニングとしては、ヨガ系なり自律神経訓練なりもあるだろうけれど、合気道を挙げたのは、その要素も含まれているだろうとこれまた勝手に想像しているからである（小生は合気道をしたことがない）。
すると姪が、「わたし、意外にオセロ得意だよ」と自慢げに話す。「オセロが複雑になったのが囲碁なんだよ。それでだな、ガキに囲碁を覚えさせようとしたら、まずはお母さんが囲碁を知らなければどうしようもないだろ」「そうだね」「行ったことないけど、日本棋院中部総本部というのが名古屋拘置所の近くにあるはずだから、そこに行けば初心者に囲碁の打ち方を教えてくれるぞ」「なにそれ？」「そういうのがあるんだよ。おまえも腹巻家のDNAが少しは入っているんだから、やったら強くなるかもしれないぞ」「フーン」
DNAで囲碁が強くなれるとは思わないけれど、小生が囲碁に熱心になったのは25を過ぎてからである。ルールだけは中学３年生のときに覚えたというのに、そこからずいぶんとブランクを置いてしまったのがいまだに悔やまれるとは、以前にも記したことだったか。それを20くらいから始めれば、すぐに小生ごときは追い越すかもしれない。姪っ子が囲碁を始めたら趙治勲先生の『ひと目の詰碁』（MYCOM囲碁文庫）と『お悩み天国』（日本棋院）でも贈ってやりたいところだが、牛を水場に連れていくことはできても飲ますことはできない。そこで、その妹に電話を替わってもらう。こいつは、この春に某高校に入学したところだ。
「いいか、おまえなあ。高校に入ったら、これまでのようにボーっと生きてるわけにいかないぞ。大変なんだ」と、まずはカマしておく。すると、「そうだよねえ」と素直な返事。そこで畳み掛け攻撃に入る。「高校生になってコンビニに入ったら、万引きしなきゃいけないだろ。ホームセンターに行ったら、シンナー吸わなきゃいけないだろ。スーパーじゃ、食い逃げしないといけないだろ。本当に大変なんだぞ」「お母さ～ん、アタマのおかしいオジサンが電話でヘンな話ししている～！」
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます