囲碁三昧

よからぬ用件を行なうために、本日は8：00前に家を出る。池袋駅で、地下鉄の乗り換えのためにエスカレーターの左側を歩いていると、小生の右側を、ずーッとケータイでメールを打っている女性が早足で通り過ぎていく。年齢は25、6くらいか。小生が格段ゆっくり歩いていたわけでもないのに、それを追い越してしまうのだから、かなりの早足だ。そのうえ、視線と指はケータイに釘付け。ところがその女性、少々がに股で、前かかがみにケータイをのぞきこみながらズカズカ歩いている姿がなんともおかしい。近未来の不思議な生物に遭遇したような気分だ。
しかし、8：00台の池袋と地下鉄は、めちゃくちゃに混んでいて、かなり息苦しい。これではとてもじゃないが本を開くどころではない。小生の目の前では、大学生のカップルと思うが、リクルートスーツの女性と普段着の男性が、混雑をこれ幸いとひしっと抱き合っている。おいおい、夕べの続きかよと、野暮なことを言っちゃあいけない。
めでたく一仕事を終え、社内の片付けもせずにゆったりと囲碁に没頭していると、Ｐ舎Ｉ氏が出社してくる。勝っていると思っていたゲームの途中、間違ったところをクリックしたためこちらが痛い目にあってしまい、結局、半目負け。クソッと思いつつも、しょうがないかと仕事を始めることにする。
まずは残高を確認すると、目出度いことに、本日は残高が不足だ。まいったなあ、予定はしていたけれど、これから地獄の資金繰りだなと暗鬱な気分となる。しかし、暗澹としていても世間は許してくれないので、まずはわずかばかりの出荷を終らせる。景気後退で、どこも閉塞感をつのらせているわけだから、弊社の出荷がわずかなのは、きっと景気後退の影響だろう。
景況感、過去最悪の水準＝石油危機超える－３月日銀短観(時事通信) - goo ニュース
出荷を終らせ、さてさてと、とあちこちに電話をかけようとしたら、「お客様の都合により」というアナウンスが受話器から流れてきた。ありゃ、しまった。本日がNTTの利用停止予定日であったことを忘れていた。あわててＰ舎の電話を借りて、NTTのお問い合わせセンターに電話。しかし、もう何年もこんなことを繰り返しているので、「料金を払いにいきますから、回線を開けておいてくだせえますだ」という電話にも飽きちゃった。
ようやく回線はつながったものの、さて、電話をかける相手先がない。どうしたものかと、腕組みをしているともうお昼だ。まだ、なんにも仕事をしてないぞ。ついでに、電話料金をはらう金もないぞ。ボケッとしていてもしょうがない、とりあえずは囲碁でもするか。困ったなあ。残高が不足状態にあると、ケツがモゾモゾしているような感じがして、落ち着いていられない。なんとかなると自分を信じていても、そこで悠然と構えられるほど人間が大きくないのだ。
そういえば、二人で経営しているある零細出版社（お付き合いはない）があり、その二人が碁キチだったそうだ。以前、経営が行き詰まり、業者さんに払うお金がない。困ったなあ。しょうがないからと、二人で囲碁をしていた。そこに集金に来た印刷屋さん、二人が囲碁に興じている姿に激怒して、碁盤をひっくり返してしまったという、笑うに笑えない笑い話がある。ちなみにその会社、結局一度つぶして新社にしてしまい、現在も元気に営業中だ（と思う）。並みの神経では、出版業なんてやってられないのだ。
12：50に某用件で友人と待ち合わせがあり、神保町まで。ついでに、あちこちのATMに寄っては、残高を確認してみるが、どれもこれもかぎりなくゼロに近い。待ち合わせ場所にボケッと突っ立っていると、雨がポチポチ落ちてきやがる。やれやれという気分だ。陰々滅々という四文字熟語を思い出す。どこが四文字だって？
13：20、社にもどると、銀行のかたの名刺が置いてある。心配になってのぞきに来たのだろう。そこで思い切って、某所に電話。おかげさまで、ようやく本日も生き残ることができました。お手数、ご足労をわずらわせ、本当にすみません。これで、ようやく明るい明日を迎えることができます。
明日は、本当に明るいのかいな。
ということで仕事をしないといけないのであるが、資金繰りで一苦労したあとは、仕事なんかよりも、酒でも飲みたい気分だ。とりあえずは、弁当を買ってきて食べながら、また囲碁三昧。こんなことをしていても、明日は明るくないぞと気分を一新し、ようやく決算作業に向かったはずであるが、30分も入力をしていたら、今度は眠くなってきた。
ウツラウツラし始めて、はっと時計を見ると針が15：00を指している。あわてて残高確認を電話をすると、めでたく本日も通過したことがわかり、本格的に寝てしまう。15：30、ようやく目が覚め、意識を回復させるために、再び囲碁に没頭。気が付くと16：00だ。まだ何も仕事をしていないことに気が付き、ようやく作業を開始することにする。このままではダメ人間だ。
ということで、遅ればせながら作業再開。しかし、このあと行かなければならないところがあるので、ダメ人間のまま、本日を終えることにする。ということで、いまから某所へ。