風塵社的業務日誌

日本で下から258番目に大きな出版社の日常業務案内(風塵社非公認ブログ)

メランコリア 死の舞踏

2009年06月08日 | 出版
昨日(6月7日)は、水族館劇場の芝居「メランコリア 死の舞踏」を、妻と観に行くことにする。なんといっても、救援連絡センターS氏が、劇団のみなさまの足を引っ張っている姿を見届けないといけない。S氏によると、予想に反して超満員で、収容しきれなかった人も出ているという話なので、19:00からの公演なのに、17:30には家を出ることにする。ワインを水筒に詰めてから、まずはバスで板橋区役所まで出て、そこから三田線に乗り白山に向かう。
目指す「駒込大観音境内特設蜃気楼劇場 異神の森」なるわけのわからんところは、光源寺というお寺の一角をお借りしているようで、白山駅、本駒込駅から徒歩で数分の距離にある。途中、コンビニに立ち寄りサンドイッチだけ買い、18:30に光源寺に到着してみると、すでに黒山の人だかり状態。受付に並び、チラシと番号札と靴袋を受取る。番号はすでに189番だ。250人くらいしか入れないという声がどこかから聞こえてきて、早く家を出てよかったと安堵。
水筒とサンドイッチを取り出したカバンを受付に預け、境内の一角に設置された芝居のセットの前で待たされる(画像はそのセット)。人にもまれながら、ワインをチビチビ飲んでいると、ようやく開演の時間となる。突然、白塗りの化け物の格好をした人が躍り出てきて、なにやら叫んでいるが、何が始まったのかよく理解できない。チラシをよく読んでいなかったのであるが、この芝居の序幕として、前提となる神話的世界を表現しているようだ。いかにもアングラ劇団という感じで、「まいったなあ、この調子で最後まで続けられると、結構つらいことになるなあ」と内心思わざるをえない。
一通り芝居が終り、役者が奥に引っ込んでから、観客は番号順にテントの中へ移動することになる。靴をぬいで、超満員のテント内にようやく腰を下ろす。何のために外で芝居を見ていたのかいまいち腑に落ちないが、そこは文句を言わずに我慢、我慢。ところが、主催者の予想以上の集客になってしまったようで、全員が中に収まるまで結構時間がかかる。それでも、立ち見客が出なくてよかった。その回は、お寺の住職さんも観劇に来られていて、芝居の始まるのをニコニコと楽しみにしているようだった。
ようやく全員が狭いテント内に詰め込められてから、第二幕の始まり。最初は変ちくりんなストーリーで、しかも意味もよくわからず、「まいったなあ」という思いが続いている。ところが、急に途中から俄然面白くなってしまい、劇世界に飲み込まれてしまった。ストーリーを単純に述べても、それほど面白いものではないし、ディテールがはっきりしない部分もあるが、劇世界が徐々に明確になってくるにつれ、ぐいぐい惹きつけられてしまう。最後、滝のようにドバーッと水が流れ落ちる中、天井から飛行機が降りてきて仰天してしまい、感動してしまったところで一度中断。
俳優さんが、舞台中央の水槽に飛び込んでいったり、セットが回転式に変化していったりという目先の変化的な楽しみもあるのであるが、結局は、芝居の持つ大きな力に引きずり込まれたのかな。重苦しい展開なのに、どうなるのだろうかと、ハラハラドキドキ見入ってしまった。ギュウギュウ詰めということもあり、水筒からワインを飲んでいるような余裕などありゃしない。
幕間のコントというか大道芸をお客さんが楽しんでいる間に、舞台ではセットの修復が行われたのだろう。ようやく舞台が開く。クライマックスに向かって芝居が疾走し始め、エンディングはまた、滝のような水と、中央の建物が動いて飛行船のゴンドラにヒロイン(千代次さん)が乗って去っていき終了。かなり面白くて興奮してしまった。失礼を承知で述べると、期待以上の内容で、これで4000円とは、かなりなお得感である。
センターS氏は、声が小さくて聞きにくかったのは難点であったが、期待していたほど足を引っ張ってなくて、少々残念。そのうえ、何回も水の中に飛び込む熱演ぶりを見せていた。しかし、このあとも水族館の芝居に出たければ、毎日、発声練習を欠かさないようにしないとダメだな。
実は最近、妻の命令に従い「XANADU」なんてブロードウェイ・ミュージカルを、赤坂のTBSACTシアターまで観に行くことがあったけれど、これがまた面白くともなんともなかった。確かに役者のお歌はお上手であるが、胸に迫るものがなにもないクソみたいな舞台だった。アナキスト・パンクス気取りが「XANADU」なんか観にいったこと自体が恥ずかしいので、このブログで取り上げるのをやめておいたが、そういう鬼畜米国エンタテイメント大好き妻も、今回の水族館の芝居にはかなり喜んでいた。「最後、すごかったねえ」とか「ヌード嬢役の女優さんがきれいだった」という、小生同様幼稚な感想しか出てこないところは、夫婦ともに能力的な限界だろう。
まだワインが残っているので、飲みながらプラプラとJR駒込駅まで歩くことにする。23:00に帰宅し、早速寝ようとしたが、室内が暑くてなかなか寝付けない。白塗りの化け物の夢でも見るのかと思ったら、そういうドラマチックなこともなく朝を迎えた。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿