ピカソ・マニマニア

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" ミリアム ”  トルーマン・カポーティ著

2020-04-06 00:31:56 | 

 1924年生まれのトルーマン・カポーティーが20才そこそこで書いた 処女作です。

 

61才の身寄りのないミセス・ミラーは 夫の残してくれた保険金で つましく暮らしている。
ニューヨーク、ある雪の日 ミセス・ミラーは映画館で 10才くらいの少女に出会う。
名前は偶然にも ミセス・ミラーと同じ ミリアム。子供なのでチケットが買えないと お金をさしだした。
雪が降り続いた週末、夜遅くに ミリアムがミセス・ミラーを訪ねてきた。パンと牛乳を与えて 追い返したが・・・

 

ミリアムはミセス・ミラーの妄想なのか?
一度読んだだけでは良くわからなかった。

 

17才でトルーマンを産んだ母親は 自分の望みを叶えるために 未婚の4人の従兄妹に彼を預けた。

母親ではなく カポーティの従兄妹たちなのだが 4人ともに曽祖父母の年齢だった。

預けられた6才から 再婚した母にひきとられる10才までを アラバマ州の片田舎で暮らす。

四人の中で一番下の従姉妹との友情が この作品の下敷きになっていると思う。

60才は越えていた彼女は軽い障害があったが とても純真な心を持っていた。

 

新潮文庫の『夜の樹』という短編集には この”ミリアム”の他に8作品が載っています。

後書きを含め 全部読んだら 全体像が見えてきたので もう一度”ミリアム”を読みました。

 

”ミリアム”から20年もたって書かれた ”感謝祭のお客” に 彼の生い立ちのヒントがたくさん隠れていました。

病気の為に背中が丸くなり 人目を避けるように生きてきたミス・スックは(カポーティと思われる)バディの一番の友だった。

10才の時、アラバマからニューヨークに住む母親に引き取られてもバディは その従姉妹をずっと気遣っていた。

バディは ”ミリアム”になって 晩年のミス・スックに寄り添いたかったのだと思うのです。

 

 

      by   風呼       

 

 

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