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『大聖堂』  レイモンド・カーヴァ―著

2015-05-17 15:15:41 | 

 

村上春樹訳。

 

映画 ”バードマン” の中の 劇中劇で使われた ”愛につて語るときに我々の語ること” の作者の代表作だそうです。

アメリカのどこにでもある田舎町の労働者階級の生活の一辺が切り取られて描かれている短編集です。  どの話も意表を突かれ油断できません。

 

前著の ”愛について語る時に我々の語ること” より若干一話一話が長く 文章がよりこなれています。

表題の 大聖堂 ですが 配偶者を亡くしたばかりの妻の以前の雇用者が主人公の家にやってくる。 夫は目の見えない客人への対応に困る。  おりしもTVで世界の大聖堂の特集番組を放映していて 客はその様子を主人公に説明を求める。  最後は主人公に大聖堂の絵を描かせその手の上に客は自分の手を載せて 姿を確認する。

 

又 前著で 「風呂」 という題名の作品が 書き足されて 「ささやかだけれど、やくにたつこと」 というものになっています。   これは誕生日に事故で死んだ少年の話で、 母親が頼んだバースデイケーキを受け取りに行かれなかったので 執ようにその頼んだベーカリの店主から電話がかかってくる というもので、 どちらの題名のつけ方も 尋常ではない。 (作者はおなじ題材をばらばらにしたり 一緒にしたりと何度も書き直すことが多いそうです。 巻末のは翻訳者による 解題~なるほど~ がとても親切で役に立ちます)

 

『大聖堂』 は代表作と云われるだけあって 表題を始めわかり易くなっています。 が 読んでいて前著のヒリヒリ感が少なくなっているようです。

 

『愛について~』 以前の作品も読んでみようと思います。 

あのヒリヒリは 今まで気付かなかった感性を刺激します。

 

村上春樹さんが ほぼ全作品を翻訳されています。 村上春樹さんもきっと話の切り込み方に惹かれたのだろうなと 勝手に想像しています。

 

        by   風呼            

 

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