昭和42年の ソノシートです。
岸田今日子朗読。 途中からですみません。
夜の船室にて
ハイネ詩
海には真珠
そらには星
わが胸 わが胸
されどわが胸には恋
ひろきかな 海とそら
はるかにひろきはわが胸
真珠より星よりうつくしく
かがやきひかるわが胸の恋
わがうらわかきをとめよ
わがひろき胸にきたれ
げに恋のあまりに
わが胸おとろへ 海もそらも消ゆ
*
うるはしき星のきらめく
あをぞらのとばりに
われくちびるをおしあて
はげしく いたく泣かまほしき
かの星こそ 恋びとのひとみなれ
いよよきらめき かがやきて
やさしくほほゑむ
あをぞらのとばりより
われ あをぞらのとばりへ
恋びとのひとみへ
せつなくも腕をのべ
祈り またねがふ
やさしきひとみよ めぐみの光よ
わが魂(たま)をよみしめたまへ
われを死なしめ われに得さしめよ
おん身と またそらのすべてを
*
そらにまたたくひとみより
金の火花ふるへつつおち
闇をつらぬきかがやけば
ああ わがこころいま恋にふくる
おお そらにまたたくひとみよ
わがこころに涙そそげよ
そのひかる星のなみだを
わがこころにあふれしめよ
*
海のなみに
まどろみの思ひにゆられて
われしづかに船室のかたすみの
をぐらき寝台にふす
ひらきたる小窓により
そらにきらめく星をあふぐ
そは わがなつかしき恋びとの
いとしき うつくしきひとみ
いとしき うつくしきひとみは
わが頭上をみつめ
あをぞらのとばりより
かがやきて会釈す
あをぞらのとばりのかたを
ひたすらにわれは見惚る
しろき霧のうすぎぬに
いとしきひとみの覆はるるまで
*
まどろみのわがまくらべの
ふなばたの板壁をうち
波は 荒波はどよめく
波はざわめき
ひそかにわが耳にささやく
「おろかなるものよ
そらはたかくして汝(な)が腕はみじかし
星はかのそらたかく
金の鋲もてとめられてあり
あこがれはむなし 吐息もむなし
ねむりいるこそいとよけれ」
*
しじまの白雪とざす
ひろき荒野をわれゆめみたり
その白雪にうづもれ
ひとりつめたき死のねむりに落つ
されど くらきそらよりわが墓を
見おろすは星のひとみ うつくしきまなこ
そのまなこ かちほこりてかがやきぬ
しづかに笑みてなほも おもひこもれり
友人から借り受けて 我が家のプレーヤーで録音しました。
自動プレーヤーには ソノシートのプログラムはありませんので 手動でやっとこ録音、 これが最初だそう。 40年余の眠りから醒めた 朗読です。
風呼r でした
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寝床の中で何度も何度も聴きました。
片思いをしていました。
岸田今日子さんの声は心に染み入りました。
今でも聴きたい。
録音が手に入るものでしょうか?