ピカソ・マニマニア

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『冥土めぐり』  第147回芥川賞受賞作

2012-08-24 23:18:42 | 

 

 

鹿島田真希さんの 第147回芥川賞受賞作です。

 

脳に障害を負った夫と その妻の 一泊の旅の話。

二人は 30代半ば。

 

裕福な子供時代が忘れられない妻の母のメッカともいえる

今は一泊5000円の区の保養所に落ちぶれた 老舗旅館が

二人の宿泊先でした。

 

主人公には その母の贅沢という遺伝子を受け継いだとしか思えない

弟がいて 何かにつけ 搾取されていました。

 

金持ちと結婚させたがっていた母に反抗するように 主人公は平凡な

男と結婚します。 そのままいけば 主人公は気のいい夫ともども 母と弟

に身ぐるみ剥がされたでしょう。

 

ある日 主人公の夫は脳の発作を起こし 車椅子の必要な子どもに戻って

しまいます。  母と弟に 金銭をあてにされる事はなくなったのですが。

 

 

 

     聖なる愚者

 

母は 冥土で生きている

と 奈津子は思う

 

母の大きく広げられた掌には

贅沢な時間だけが掬い取られていて

みじめな現実はすべてこぼれ落ちてしまっている と

 

母が繰り返し自慢する

思い出をめぐる 一泊の旅に出たが

 

そこに奈津子の求める答えはなく

 

無邪気に障害を顕わにして

誰からも愛される

天真爛漫な夫に癒される自分を見た

 

  弟と母は生きながら

  冥土で暮らしている

 

夫はこんな体になって

自分をあの母弟から救ってくれた

 

この世は 理不尽ばかり

そればかり思っていたが

 

 

 

          風呼   でした           

 

 

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