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『 少年は残酷な弓を射る 』  ライオネル・シュライダー著

2020-02-16 01:20:48 | 

 

原題は   ” We Need Talk About Kevin ”

 

事業家として成功したエヴァは 37才で子供を持ちたいと思う。

念願通り 男の子が生まれ ケヴィンと名づけた。

苗字は アルメニア人であるエヴァの カチャドリアンにした。

フリーでロケ地フィッテイングの仕事をしている夫のフランクリンは育児に積極的だったが

エヴァはケヴィンが生まれた時から違和感を感じていた。

父親には見せない顔を 何かを試すようにちらちら母親に見せるのだ。

6才まで紙おむつをしていて エヴァはたびたび保育園におむつ交換に呼び出されたり、仕事を休む羽目になる。

それでもエヴァは母親らしく愛情を注ごうと努力をし、もうひとり子供を産む。

 

学校へ行くようになったケヴィンは 巧妙に同級生に嫌がらせをし 友達を殆ど失くす。

そしてそれは8才下の妹にまで及ぶようになる。

エヴァには息子のしたことが分かるのだが 気のいい夫は 思い過ごしと取り合わない。

 

そしてケヴィンの16才の誕生日の3日前に 事件は起こる。

ニューヨーク州では 16才になると殺人は大人と同じに裁かれる。

15才のうちに決行しなければならなかったのだ。

 

全編、エヴァの夫フランクリンへの手紙で語られる。

そうよエヴァ、貴女はいつでも正しい! 世の常の母親がそうであるように。

 

子供は何時でも親を試す。

親の欺瞞を見抜いている。

その子が賢ければ賢いほど 気づかない又は改めない親に鋭い刃を突き付ける。

 

全編に溢れるエヴァのエゴイズムに辟易しながらもこの長編を読み終えたのは 見事な構成と この先どうなるのかとの巧みなミステリ―仕立でもあったから。

 

クロスボウ(小型のアーチェリー)で起こされたこの事件は 1999年4月8日という設定だ。

有名なコロンバイン高校乱射事件は1999年4月20日。

スクールシューティングは それまでもあったが コロンバイン事件以後 急速に増えている。

 

 

訳者の一人は ちょっとした知り合いなのですが エヴァをいかにいやな女に描くか腐心したそうです。

見事な訳です。

 

 

       by  風呼     

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