ピカソ・マニマニア

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『やけたトタン屋根の上の猫』 寺嶋しのぶさん

2010-11-16 23:15:58 | 観劇


於・新国立劇場小ホール。

新国立劇場小ホールは 客席数400余り、 舞台を自由に動かせます。

原作者のテネシーウィリアムズが 自分の作品の中で 一番気に入っていたと云う 『やけたトタン屋根の猫』、 このホールでは 舞台が斜めを向いていて 傾斜がある。

二階の設定なので 階下へ下りる階段があり 柵もないので 役者さんは転がり落ちる恐怖にもさらされます。


物語は 1954年に書かれました。

ミシシッピーの 一代で財を築いた男が 癌で死の宣告を受ける。

彼には二人の息子がいて 次男は自宅に夫婦で住んでいる。

長男は弁護士として町に住み やがて6人目の子供が生まれるという 子沢山、 父親が遺書を書いていないと知っていて 財産を狙って度々やって来る。

フットボールの花形選手だった 次男は 親友との仲を妻に疑われ 同性愛を認めた親友のアル中による死の後 自分も酒びたりの日々。

だらしない次男なのに なぜか両親は しっかり者の長男より 次男の方を愛します。





 "カチッ"と音がするまで


おまえは何かから逃げている
父親は言う

真実と向き合おうとしない



あいつが死んでから
何もかもが辛い

酒を飲んで
飲み続けると

頭の中で"カチッ" と
音がする

音がすると
安心して眠れる


妻マギーに挑発されて
あいつは俺を
愛していると告白した

俺は拒否した

だって
俺にそんな事はあり得ない

断じてあり得ない!


父さん
もう少し飲ませてくれ

頭の中が
"カチッ" というまで




テネシー・ウィリアムズは 同性愛者でした。

1955年に この戯曲が エリザベス・テーラーと ポール・ニューマンによって映画化された時、 親友は妻マギーに横恋慕して アル中で死ぬ設定に変えられました。

まだそんな時代だったのです。

テネシー・ウィリアムズは 激怒したそうです。


妻マギー役の 寺嶋しのぶさんは スタイル自慢の主人公そのもので すらりと背が高く 長く細い手足に 目の覚めるような青のワンピースが よくお似合いです。

第一幕では 一人で喋りまくり 夫をイライラさせる。
観客までイライラさせるのも 演技のうち と気付くのは 次の幕になってから。


次男役の北村有起哉さんは 前夜 足を骨折した設定なので ガウンかパジャマに 松葉杖です。

斜めに傾いている舞台を 転げまわってばかり 落ちるかも の恐怖は 観客に伝わってきません。 さすがです。

北村有起哉さんは 文学座の重鎮、北村和夫さんが お父様です。

俳優の二代目なんて 碌でもない人が多いので 無視していたのですが 以前他の人を見に行った舞台に出ておられて いっぺんでファンになりました。

今回の舞台も楽しみにしていましたが 予想以上の好演です。


その他 素敵な母親に 銀粉蝶(ぎんぷんちょう)、 兄嫁役の 広岡由里子さんも印象的でした。


本日のみ 終演後に 主役二人と 演出の松本祐子さん(寺嶋しのぶさんと文学座の同期だそう。若!) 芸術監督の宮田慶子さんの トークがありました。

司会はお懐かしい 中井美穂さん、 名司会でした。




        風呼r  でした      




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