16年前 世界が震撼した 同国民、異民族間で大虐殺のあったルワンダが IT王国への道を歩んでいます。
長くフランス領だったので 公共の言語はフランス語だった筈ですが 学校の授業は英語で行われています。
資源のない国の 新たな選択です。
1998年作の私の詩です。
ルワンダのフランソワ
むかしむかし。1000年以上もむかし。
「フツ族」と呼ばれる農耕民族がコンゴ盆地から
やって来て、ルワンダに住み着きました。彼らは
温厚でよく畑を耕しました。
むかしむかし。500年ぐらいむかし。
「ツチ族」と呼ばれる遊牧民族が、草原を求めて
南下し、やはりこの地に住み着きました。彼らは
誇り高く勇敢でした。
両民族は同じ言葉を話し通婚し、仲良く暮すよう
になりました。列強が干渉するまでは。
★ ★ ★
それはラジオから始まった。
突如出現した千の丘ラジオ局。
既存のお堅い国営放送とは異なり
軽快な音楽に合わせて
ディスクジョッキーがラップした。
「ツチ族は 悪魔だ。
ツチ族は 蛇だ。」
リズムにのって若者は
右に左に手を上げる。
左に右に腰を振る。
「ナタを取れ! 斧を持て!
武器はなくても 人は殺せる」
フランソワは17才。
父はフツ族。母はツチ族。
ある日村の人々に
ツチ族に嫁いだ姉の子を
4人とも殺せと迫られた。
追い詰められて斧を振るった。
殺さなかったら
自分も殺られた。
ルワンダは 空に近い国
地の恵み 豊かな国。
道端の そこここに転がる
数え切れない ひと蓑虫。
はるかナイル川にも続く湖に
累々と浮かぶ ひと筏。
ある日武装したツチ族が
隣国から攻めてきて
政権を取り戻した。
殺人罪で囚われたフツ族は13万人。
罪を認めたのはフランソワひとり。
ルワンダは 空の遠い国。
草も木も生えない 屍の山の国。
殺した側も 殺された側も
何事もなかったふりをしているが
もう誰も相手の目を見て話さない。
やがて罪を償って
フランソワが 村へ戻ってきた。
牢を出たのはフランソワひとり。
今日も若者はゴスペルで踊る。
フランソワには気後れの
教会のミサ。
この村しか知らない。
この村で生きていくしかない。
前科者のフランソワ。
フランソワは まだ20才。
風呼r でした
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