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ニューヨーク・トリオ/ラブ・ユー・マッドリィ

2009年11月06日 23時58分27秒 | JAZZ-Piano Trio
 10月24日の「ビル・チャーラップの盤歴」のところで、躓きの石的なアルバムとしてあげたものだが、いい機会だから改めて聴いてみた。もう一度紹介しておくと、このアルバムはビル・チャーラップがビル・スチュアート、ジェイ・レオンハートと組んでで出している一連のニューヨーク・トリオ名義の作品のひとつで、2003年の第三作となる。ビル・チャーラップは父親がミュージカルの作曲家、母親が歌手という、多分スタンダードやミュージカルを子守歌替わりに聴いて育ち、この分野の音楽が血肉化しているに違いない人らしいので、その造詣の深さを見込まれて(?)、作曲家シリーズのようなアルバムを沢山だしているが、これはエリントン集である。

 アルバムは「スター・クロスト・ラヴァーズ」というスロー・バラードだ。私はこの曲自体には全く馴染みがないが、甘さと苦みがほどよくバランスし、ラウンジ風にシャレたセンスと都会的ムードはいかにも「大人のジャズ」といった風情でなかなかいい。「あれ?、このアルバムこんなに良かったっけ」という感じである。さすがに私も知っている大スタンダード作品「イン・ア・センチメンタル・ムード」「ソフィスティケイテッド・レディ」「プレリュード・トゥ・ア・キス 」も、陶然とするようなロマンティクさでなく、酒でいささか体温が上がったような温度感にある種の苦みが見え隠れしていて、「スター・クロスト・ラヴァーズ」と-ついでにラストの「ウォーム・ヴァレー」も-同じようにいい。
 あと、超スローにアレンジした「Cジャム・ブルース」は、ビル・チャーラップらしい絡め手で演奏していて、前作の「夜のブルース」を思わせる洗練されたブルース感覚がこれがまた楽しい。なんだ、このアルバムは凄くいいじゃないか。

 一方、 「ジャンプ・フォー・ジョイ」「ラブ・ユー・マッドリィ」「ジャンプ・フォー・ジョイ」といった、ジャズのルーツがぷんぷんと匂うアクの強い作品はやはり今一歩な印象である。数年前にチャーラップに夢中になった時、私は彼のレッド・ガーランドばりの洗練されたスウィング感やメロディックさにKOされていて、このアルバムにはそうした曲が「スイングなければ意味ないね」くらいしかなかったのが、結局躓きの元になって、もっさりとしたバラード風な作品に、ちとエキセントリックな作品が点在するちと座りの悪い作品と感じてしまったようだ。今回はその「もっさりとしたバラード」の演奏に得も言われぬ魅力を感じたのだから、やはり音楽は繰り返して聴いてみないとわからないとつくづく感じた次第。久しぶりに「スターダスト」でも聴いてみようかな。

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