テンシュテット、セルに続く三つ目の「子供の不思議な角笛」です。インバル指揮による一連のマーラー・シリーズだと思いますが、どういう訳かオケがいつもフランクフルトではなく、ウィーン交響楽団になっています。このアルバムは96年に収録されていますが、インバルは89年にフランクフルトの首席を下りているらしいので、おそらくそのあたりの事情が絡んで、当時一緒にショスタの交響曲など同じレーベルに録音していたことから起用されたんだと思います。歌手陣はソプラノはイリス・フェルミリオン、バリトンはベルント・バイクルです(フィルアップに収録された「さすらう若人の歌」はヨルマ・ヒンニネンというバリトンが歌ってます)。
この曲はテンシュテットの録音をCDで購入して以来、よく聴きますが個人的にはいまひとつ馴染めない曲であり続けてます。前回書いたように、この曲集の随所に現れる「軍隊ラッパ+行進曲調」みたいところが抵抗あるのに加え、どうもこの曲集に漂う苦いアイロニーと諧謔味みたいなものも馴染めないような気もしてきました。今年になってマーラーをいろいろと聴いたおかげで、「亡き子をしのぶ歌」を大のお気に入りにできたのは収穫でしたが、この曲の場合、その壁はなかなか厚いです(笑)。そういえば、この曲集、全曲から「ラインの伝説」とか「浮き世暮らし」といった曲を数曲を抜粋して歌ったり、アルバムに収録されたりすることも多いんですが、そういうスタイルがある程度流通しているところをみると、やはりこの曲集を「ひとつのまとまった曲」として聴くのは、いささかつらいところがあるのは、存外私だけじゃないかのかもしれませんね。
さて、このアルバムの演奏ですが、これまで聴いたものの中では、一番クセのない、ノーマルな演奏という印象を受けました。前述したような違和感はほとんどない演奏ともいえます。こういった印象は曲のエキセントリックなところはさらりと流し、途中で立ち止まったり、やにわ大声で叫んだりせず、流れるような演奏に仕上げているところからくるものだと思いますが、こういうところにもマーラー演奏の現代性みたいなものが流れ込んでいるというところなのかもしれません。けっこう気に入りました。
バイクルはテンシュテット盤でも歌っていた人で、あの時は芝居がかった過剰な身振り手振りにいささか辟易しましたが、こちらは割と素直に歌っているのは指揮者の意向を汲んでのことでしょうか。また、フェルミリオンはシャープでモダンな歌い方をする人で、格調高いのはいいのですが、この曲のトラッドな性格を考えるとやや突き放し過ぎような気がしないでもないです。
あと、テンシュテットとセルは同じEMIという事情なのか曲順が同一だったのですが、こちらはかなり曲順が違います。私はこうした曲順を非常に重視するタチなので、かなり違った感じを受けます。一聴した印象ではテンシュテットの方はメリハリのある山あり谷ありな起伏を狙った並べ方をしていたととすると、こちらはより田園的な歌曲集みたいな平坦な起伏になっているような気もしますが、どうでしょうか。
ついでに録音ですが、オケこそ違うものの、一連のマーラー・シリーズと共通するとふっくらとしたホールトーンをたっぷりととりいれ、実になめらかな音質になっています。また交響曲に比べると、オケの響きがややくぐもった暖色系の音に感じられるのは、録音というよりフランクフルトとウィーン・シンフォニーというオケの違いでしょうか。
この曲はテンシュテットの録音をCDで購入して以来、よく聴きますが個人的にはいまひとつ馴染めない曲であり続けてます。前回書いたように、この曲集の随所に現れる「軍隊ラッパ+行進曲調」みたいところが抵抗あるのに加え、どうもこの曲集に漂う苦いアイロニーと諧謔味みたいなものも馴染めないような気もしてきました。今年になってマーラーをいろいろと聴いたおかげで、「亡き子をしのぶ歌」を大のお気に入りにできたのは収穫でしたが、この曲の場合、その壁はなかなか厚いです(笑)。そういえば、この曲集、全曲から「ラインの伝説」とか「浮き世暮らし」といった曲を数曲を抜粋して歌ったり、アルバムに収録されたりすることも多いんですが、そういうスタイルがある程度流通しているところをみると、やはりこの曲集を「ひとつのまとまった曲」として聴くのは、いささかつらいところがあるのは、存外私だけじゃないかのかもしれませんね。
さて、このアルバムの演奏ですが、これまで聴いたものの中では、一番クセのない、ノーマルな演奏という印象を受けました。前述したような違和感はほとんどない演奏ともいえます。こういった印象は曲のエキセントリックなところはさらりと流し、途中で立ち止まったり、やにわ大声で叫んだりせず、流れるような演奏に仕上げているところからくるものだと思いますが、こういうところにもマーラー演奏の現代性みたいなものが流れ込んでいるというところなのかもしれません。けっこう気に入りました。
バイクルはテンシュテット盤でも歌っていた人で、あの時は芝居がかった過剰な身振り手振りにいささか辟易しましたが、こちらは割と素直に歌っているのは指揮者の意向を汲んでのことでしょうか。また、フェルミリオンはシャープでモダンな歌い方をする人で、格調高いのはいいのですが、この曲のトラッドな性格を考えるとやや突き放し過ぎような気がしないでもないです。
あと、テンシュテットとセルは同じEMIという事情なのか曲順が同一だったのですが、こちらはかなり曲順が違います。私はこうした曲順を非常に重視するタチなので、かなり違った感じを受けます。一聴した印象ではテンシュテットの方はメリハリのある山あり谷ありな起伏を狙った並べ方をしていたととすると、こちらはより田園的な歌曲集みたいな平坦な起伏になっているような気もしますが、どうでしょうか。
ついでに録音ですが、オケこそ違うものの、一連のマーラー・シリーズと共通するとふっくらとしたホールトーンをたっぷりととりいれ、実になめらかな音質になっています。また交響曲に比べると、オケの響きがややくぐもった暖色系の音に感じられるのは、録音というよりフランクフルトとウィーン・シンフォニーというオケの違いでしょうか。
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