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バーバー 管弦楽作品集 第4巻/オールソップ&ロイヤル・スコッティシュ・ナショナルO 他

2010年04月15日 22時36分52秒 | クラシック(20世紀~)
・ピアノ協奏曲
 第1楽章はいきなりピアノ独奏からスタート、華麗なフレーズを次々に繰り出していくと、途中からオーケストラ加わり、華やいだやりとりでもって進行していく。基本的はチェロ協などと同じで、おおむね古典的な形式によってはいるが、聴こえてくる音楽はかなりモダンな響きに満ち満ちているという感じ。もっともあそこまで晦渋ではなく、この曲の場合、プロコフィエフみたいなスポーティーと名技性さがあるので、ある程度は聴きやすさもある。
 第2楽章は切れ切れに散りばめられモチーフやそのその乾いたな響きのせいで、モダンな雰囲気を醸し出してはいる。また、ピアノに様々なソロ楽器が細かく絡むあたりはエキゾチックな趣きもあったりするが、全体としてはかなり静謐なムードをもって進んでいくこともあり、大筋としてはバーバーらしい抒情的緩徐楽章といっていいだろう。
 第3楽章はこれまたプロコ的な野趣を感じさせる音楽。執拗なリズムの繰り返しは、原始主義的なところもあり、不気味なパワーを醸しだしているし、金管の咆哮も賑々しく、まさに野趣満々といった雰囲気がある。ただし、脳天気に明るい訳でも、単にパワーで押し切る訳でもなく、なんとなくヒンデミットを聴いているような晦渋さもある。構成としてはロンド風にテーマが再現しつつ進行するが、最後はもの凄く難しそうな華々しいピアノのパッセージが連打して大団円を迎える。

・クリスマスに
 1960年に作ったバーバーの比較的後の方の作品。どういう目的で書かれたのかはわからないものの、クラシックを題材にしたらしい単体の作品で、第3巻の組曲「遠足」と似たようなライトクラシック風な作品になっている。なにしろクリスマスがテーマで、渋いところが選ばれてはいるが、お馴染みの旋律もいくつか登場するともなれば、聴きやすさやファンタスティック美しさはひとしおである。また、長さも17分ほどあるため、ちいさな交響詩のような量感もあって楽しめる。


・メディアの瞑想と復讐の踊り
 作品23の組曲版は第2巻に収録されていたが、こちらはその更に短縮版ともいえる作品23aで、既にスラトキンとセントルイス響の演奏を聴いているところだが、きちんこちらのヴァージョンも収録されているところはさすがナクソスといったところか。演奏時間に30分近くかかり、やや晦渋なところもあった組曲版に比べ、こちらは約14分でかなり、こちらは瞑想的な前半、劇的な後半と構成としてもメリハリがはっきりしているから、非常に聴きやすい音楽になっている。オールソップの演奏はスラトキンと比較すると、歌い回しもすっきりしていて、より淡泊な印象である。

・コマンド行進曲
 3分ほどの短い曲。ハリウッドというよりは、どちらといえとイギリスの戦争映画のサントラみたいな雰囲気。映画音楽というにはもう堅実な感じがする音楽。ある意味、ウォルトンが作った映画音楽などにも近いかもしれない。もっとも、後半に全開するオプティミズムいっぱいのダイナミズムはいかにもアメリカという雰囲気であるが。

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