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バーバー 管弦楽作品集 第6巻/オールソップ&ロイヤル・スコッティシュ・ナショナルO

2010年06月03日 23時07分30秒 | クラシック(20世紀~)
・キャプリコーン協奏曲
 スラヴィンスキーみたいなシニカルさ、苦味があるバーバー流の新古典派風作品。ただし、ありがちな晦渋で低回気味なところが延々と続くようなことはなく、全体はキビキビとして颯爽と進み、ある種の爽快感も横溢しているので、聴いていてとても気持ちが良い。バーバーの作品としてはけっこうカタログが充実している作品だが、それも納得できる魅力を持って作品だと思う。

・歌劇「ブリッジ遊び」
たった10分間で完結するやけに小規模な歌劇である。しかもいきなりラウンジの情景を彷彿とさせる4ビート・ジャズのムードで始まる。筋書きは不明だが、おそらくカジノかなにかで、ブリッジをする4人の虚々実々の心理戦のようなものを描写しているのではないだろうか。登場人物は4人、前述の通り時間は短いが、盛り込まれた音楽的情報量はなかなかのものである。

・バッハからの突然変異
金管アンサンブルによる5分半ほどの作品で、なんでも歌劇「アントニーとクレオパトラ」の初演が酷評され、傷心のバーバーがアルプス山麓に隠遁生活を送っていた時に作られたらしい。バッハの荘厳なモチーフを使い、壮麗さ広がりを感じさせる仕上がりになっている。確かに絶望の中から明るい光を希求するような音楽だ。

・歌劇「ヴァネッサ」から間奏曲
 鄙びた抒情が横溢するいかにもバーバーらしい作品。前半は木管とハープのアルペジオの絡み、中盤からは弦がちょっとエキゾチックな旋律を奏でる。全体は「管弦楽のエッセイ」に近い雰囲気が感じられる。

・オーボエと弦楽のためのカンツォネッタ
 タイトル通りオーボエと弦のための作品で、雰囲気としてはV協の第二楽章の近い雰囲気がある。つまり、温度感の低いやや悲痛な面持ちもあるが、その淡々とした中から得も言われぬ抒情がわき上がってくるという出で立ちである。つまり、これもまた極めてバーバー的な抒情が出た作品。

・過ぎ去りし情景のファドグラフ
 70年代に作曲されたもので、「管弦楽のエッセイ3」などと同じ頃の作品。ただし、ああしたシニカルさはあまりなく、多少低回気味なところはあるものの、オーボエとハープによる開幕から、終始神秘なムードで進んでいくスタティックな作品となっている。

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