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ブゾーニ ピアノ作品集2/ハーディン

2009年04月24日 23時02分07秒 | クラシック(20世紀~)
 ブゾーニ編曲によるピアノ版の「シャコンヌ」が聴きたくて購入してきたアルバム。パルティータ第2番第5曲のシャコンヌといえば、全6曲に渡る「無伴奏ヴァイオリンソナタとパルティータ」のほぼ中心に位置するといってもいい楽章であり、恐らく全曲中もっとも有名な楽章ということになるとも思う。なにしろ、全曲中に収まったこの「シャコンヌ」の突出感は異常である。演奏時間は群を抜いて長い約15分、冒頭のテーマからただならぬ緊張感に支配された悲愴感が漂い、その重量感とシリアスさは他の楽章の比ではない。また、途中一転して長調の伸びやかなムードになった後、再び漆黒の闇みたいなムードが甦ってくるあたりの展開は、一足飛びにロマン派の世界に到達してしまったような趣すらある。

 おそらくブゾーニはそういうところ感化されたのだろう。これをピアノ用にアレンジした訳であるが、元の作品に霊感を受けたのか、この編曲版は作品をほとんど忘れられてしまっているブゾーニの作品にあって、戦前から有名ピアニストに好んで演奏され続けているほどに有名なピアノ・ピースになっている訳である。
 さて、それほどに有名な「シャコンヌ」を、私は恥ずかしながら初めて聴いた訳だけれど、これは先日の山下によるギター演奏以上に全く違和感のない編曲である。もともとロマン派ばかりを聴いてきて、ブラームスの第4のパッサカリアだの、ウェーベルンの「パッサカリア」、ついでにコドフスキーの「未完成交響曲の冒頭八小節に基づくパッサカリア」なども日常的に楽しんで来た当方としては、ホームグラウンドに戻ってきたような感すらあるくらいだ。

 とにかく、ブゾーニはこの「シャコンヌ」をほぼ完全にロマン派の音楽にしている。これを聴いて頭を駆けめぐるのはバッハというより、前述のブラームスやウェーベルンだったりするのだ。この曲は冒頭の4小節のテーマを様々に変形させつつ64回現われるのが骨格だが、各変奏の特徴をかなり際だたせて、全体としては性格変奏にも近いような音楽的なレンジがあるし、テンポを動かし、ピアニスティックなフレーズを多用して、感情面の振幅を大きくとっているあたりも実にロマン派的といわねばならないだろう。
 そんな訳でこれは非常に楽しめる。またピアニスティックなフレーズが随所に登場して、派手なショー・ピースみたいになっているところも私好みだし、前半~中盤部分を占める短調の部分のラストあたりであおり立てるように展開していくあたり圧巻である。

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