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BILL CHARLAP Trio / Somewhere

2006年03月14日 00時01分49秒 | JAZZ-Piano Trio
 ビル・チャーラップのレギュラー・トリオ(ブルーノートからワールドワイド発売されている方)の2004年発表の作品。前作がホーギー・カーマイケルで、本作がバーンスタイン、先般出た新作がガーシュウィン集ですから、レギュラー・トリオの方はさながらアメリカン・ミュージカルの作曲家シリーズみたいな感じになってきてますが、カーマイケル集が多彩なゲストを迎えたけっこうバーサタイルな作品であったのに比べると、本作は再び全曲ピアノ・トリオで演奏されています。もちろん選曲は「ウェスト・サイド・ストーリー」を中心にしたバーンスタインとミュージカル作品ばかりですが、こういう企画をピアノ・トリオでやろうというセンスはさすがビル・チャーラップというべきでしょう。学校でジャズを勉強してきた人がスタンダードやるのとは、ひと味もふた味を違うセンスを感じさせますよね。

 とはいえ、収録曲のほとんどが初めて聴くため、ビル・チャーラップのスタンダードを料理する手腕を楽しむという点では、ちと当方の勉強不足なところがありますが(なにしろ、「ウェスト・サイド・ストーリー」なのに、「something's coming」や「tonight」そして「マリア」も入ってませんからね、このあたりのセンスもまたチャーラップらしいところなんだけど-笑)、純ピアノ・トリオ作品の前作にあたる「星の降る夜」と比べると、一曲一曲のキャラクターを鮮明に描き分けている点といい、歌心、インプロビゼーションといい、遙かに音楽的深度を増しているように思います。おそらく、このあたりは前作「スターダスト」でいろいろなフォーマットに挑戦し、多彩な解釈をものしたことが生きているんでしょうね。「星の降る夜」にあった一曲一曲はおもしろいし、巧いことこの上ないのだけれど、アルバム通して聴くと、どうも一本調子だったところが見事に解消されているあたり、このトリオの大きな進歩といえるんじゃないでしょうか。また、そうした進歩を派手なギミックやテクニックで見せるのではなくて、割と地味な歌心みたいなところから感じさせるのが、これまたこの人らしいところといえます。

 曲として目立ったところを書いておくと、1曲目「クール」はリフのみ残してオリジナルを解体したようなギクシャクしたアレンジなのがいかにもチャーラップ。2曲目の「ラッキー・トゥー・ビー・ミー」はこのトリオらしいミディアム・テンポゆったり楽しめる作品。このトリオらしい....といえば、3曲目の「イッツ・ラヴ」はシャープなリズムのキメに、小気味よいスウィング感、歌心と三拍子揃ったアルバム中もっともこのトリオらしい作品かも。5曲目「ジャンプ」はこのメンツにして珍しくトリッキーな作品で、チャーラップ最初期の頃を思わせたリもします。10曲目の「アメリカ」はアフロ・キューバン風のリズムで料理して、あっと驚くアレンジをさりげなく披露している。こんなことチャーラップ以外誰が思いつくのか、ざまぁみろとかいいたくなっちゃう(笑)。ラストの「サムホエア」は2分半のピアノ・ソロで、ニュー・ユーク・トリオでの「いそしぎ」を思わせるそこはかとない叙情と格調高さが絶妙にブレンドした実に味わい深い演奏です。

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