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ティエリー・ラング・クインテット/リフレクションズ2

2009年03月28日 23時06分27秒 | JAZZ-Piano Trio
 ずいぶん長いこと放置してあったアルバム。なにしろ、ラングの「リフレクションズ1」を取り上げたが一昨年の6月だから、ずいぶんと間が開いてしまった。様々なフォーマットにラングが取り組むこの「リフレクション」シリーズだが、前作は一応自らの基盤を確認するかのごとくピアノ・トリオで収録されたが、こちらはテナー・サックスとトランペットを加えたクインテット編成で演奏されている。2年近くもほったらかしにしてあったのは、きっと「ECM的な透明感がラングの持ち味だとすると、2本のラッパを加えた音楽はどうなんだろう?」などと訝しげな気持ちがあったからだと思う。ヨーロッパ的なピアノ・トリオというのは、けっこう明確にイメージできるが、管楽器の入ったヨーロッパ・ジャズというのは、どうも確固たるイメージが結びつかないのだ。

 さて、実際聴いてみると、なんのことはない、例のティエレー・ラング・ワールドであった。確かにサックスやトランペットが入っているせいもあるし、いわゆるジャズ・スタンダードなども取り上げているところからも、一聴するとモード前後の王道ジャズみたいな聴こえ方もあるのだが、このゆったりとしたのびやかな音楽の流れ、ホットだとか熱狂だとかいう言葉とは、ほとんど無縁な音楽の温度感の低さのようなものは、やはりラング特有なものだ。1曲目の「コラール」にただよう静謐なムードにゆったりとしたグルーブ感は彼らしい世界としかいいようがないし、ミュート・トランペットに始まるアルバム2曲目の「レ・プチ・ジュ」などイントロこそマイルス風(というよりティーブ・レイシー的というべきか)だが、サックス・ソロをフィーチャーした本編の方は優雅なワルツのリズムとクラシカルといいたいようなラングの伴奏が、独特の軽みやひんやりとした感触を感じさせて、「あぁ、ヨーロッパのジャズを聴いてるな」という気分にさせる。

 また、ブルース・ナンバーである3曲目「アン・プチ・ブルー」も、「死刑台のエレベーター」を彷彿とさせるハードボイルドさがあっていいし、新主流派+ブラジル風味みたいな曲も数曲あり、これもけっこう楽しめる。なお、4曲目の「テンダー・アウェィキング」、6曲目の「ワカ・フォー・フォーチ」、8曲目の「モンマルトル」あたりは、メランコリックでちょっと湿ったいつもラング・スタイルを味あわせてくれる作品だ。
 という訳で、特に心配するまでもないラングらしい作品だったのだが、考えてみればサックスやトランペットが入って、なおかつ音楽全体がラングらしいとしかいいようがない感触になっているのは、よぼと緻密に編曲したような音楽ならそれもありだと思うが、こういうインプロ主体の音楽でこうなるということは、けっこう凄いことなのかもしれない。

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