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トリオ・モンマルトル/ローマの思い出

2007年09月29日 23時15分58秒 | JAZZ-Piano Trio
 ニルス・ラン・ドーキー弾きいるトリオ・モンマルトルの確か第2作。なにしろこのバンド名だし、アルバム名が「ローマの思い出」だから(ちなみに第1作のタイトルは「カフェ・モンマルトルからの眺め」)、これはもうどこをどう見ても「ニッポン発欧州ジャズ」の香りである。具体的にいえば、ちょっとオシャレにジャズを聴いてみたいOLのような人をターゲットにして制作されたのは多分間違いないところだ。いや、だからといって悪い訳じゃない、音楽が良ければ、否、自分の好みであれば、「モンパルナスの窓」であろうが、「カンヌのそよ風」であろうと、とりあえずタイトルやジャケはなんでもいい。では、この作品の場合はどうか?。

 音楽的には絵に描いたようなヨーロッパ型のピアノ・トリオである。本作では選曲にイタリア系のものが多くとられたためのせいもあるが、非常に叙情的なメロディーを実にしっとりとラプソディックに歌っている。また、音楽をインプロで拡散させながら、陰影の深いロマン性や思索的なムードを繰り広げていくあたりは、例によっては初期のスタンダーズの影響が強い感じがする。ニルス・ラン・ドーキーはヨーロッパの中堅として、ゲイリー・ピーコックを向かえたピアノ・トリオ・アルバムなども作っているようだから、この仕上がりは当然ともいえかもしれない。特に1曲目の「素直なあなた」など、ラン・ドーキだけではなくトリオ全体がアラ・スタンダーズであるし、オリジナル作品である8曲目の「KS」などもスタンダーズ風なゴスペル&ロック的な風味がある。

 とはいえ、全編スタンダーズ調という訳ではなく、5曲目の「ひとりで」などは軽快に4ビートをスウィングさせているし、印象派的なセンスをみせる4曲目「プレリュード~カルーソー」などもあるし、ジョアン・ジルベルトなども歌っているスタンダード「エスタテ」(3曲目)はストレートにメロディを歌い好感がもてるところだ。決してエピゴーネンではない。また、これもオリジナルだが、10曲目の「ホーム・スイート・ホーム」あたりの米欧混合なセンスなどもなかなかおもしろい。この人はむしろこういうところに個性があるのではないかと思う。という訳で、このアルバム、悪くはない仕上がりだと思う。実はこのアルバム、数年前に購入して一聴して後、印象が薄くて放置してあったのだが、あの時より遙かに好印象をもった。これを機会にWalkmanにでもいれてリピートして聴いてみようか。
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