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シューマン 交響曲全集/サヴァリッシュ&シュターツカペレ・ドレスデン

2007年09月17日 23時52分29秒 | クラシック(一般)
 8月中はボサノバなどでレビュウしていた関係上、ブログではシューマンの交響曲についてはすっかりごぶさた状態だったのだが、実はWalkmanなどでこの夏中かなり頻繁に聴いていた。ムーティ、インバル、マリナー、バーンスタイン、セルなどをとっかえひっかえ状態で聴いていた訳だけれど、個人的に一番良かったのはやはりくっきりすっきり毅然としたたたずまいセル、次いでスタイリッシュな推進力でぐいぐい進むムーティー、爽やでクセのないプレーンなマリナー、といったところが気に入った(ブラームス流にもっさりとしたインバルやウィーン・フィルは素晴らしいものの、全体に大味なバーンスタインは最近今一歩という感じるようになってきた)。今回聴いたのは、1974年にサヴァリッシュがシュターツカペレ・ドレスデンを振った全集である。

 サヴァリッシュというドイツの指揮者は日本ではN響の指揮者というイメージもあるが、個人的には60年代前半のバイロイトのワーグナーやフィリップスに残した一連のブラームスなどで見せた、オーソドックスなドイツ的安定感をベースに、モダンなシャープさと理知的なセンスでもって音楽を作る人みたいな印象の方が強い。特に60年代初頭の頃、フィリップスに残した何枚かのアルバムはワーグナーばかりが有名だが、ウィーン・シンフォニーを振ったブラームスの2番あたりは、セル以上にクリアでかつドイツ的な雰囲気にも不足しないけっこうな名演だったと思う。ただ全体としてみると、どうもメジャー・レーベルでの盤歴に恵まれないせいか(オルフェオに残したブルックナーとか良かったが)、レコードやCDでのイメージはいまひとつで、やはり彼の代表盤というと、EMIに残したこのアルバムあたりになるような気がする。

 さて、このシューマンの交響曲全集、まだディスク1を聴いたばかりだが、一聴してとても気に入った。このアルバムは定評ある名盤として、いろいろなところで取り上げられているが、それが納得できる仕上がりである。おそらく誰もがいうところだろうが、ごくごくまっとうドイツ流にオーソドックスな演奏で、奇をてらったところなどどこにもないのだが、多分、サバリッシュの主知的なセンスがものをいっているのだろう、ふっくらとして十二分にシンフォニックな響きにもかかわらず、きびきびしたリズムと曖昧さがないディテールによって、シューマン的な情感を表現しきっているという感じなのである。うーむ、これはセルと並び称されるべき演奏のような気がする。
 なお、ドレスデンのシンフォニックで雄大なサウンドとそれを捉えたEMI録音特有な絹ごしな音調が実にマッチしていてこれまた魅力的だ。
コメント
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