昨年の11月にディクスン・カーが創元社から大量に復刻されたのを知り何冊か買い込んだのはその時書いたとおりだが、実はこれらの本は-いつものことながら-ほとんど読んでない。ちょっと前にその中から「アラビアンナイトの殺人」を取り出して来て、バックの中に入れて折りをみては読んでいたのだが、あまり先に進めず、そのまま放り出してしまった。この話、千夜一夜物語をよろしく、三人の登場人物が各々の視点で遭遇した事件について語り、一夜を徹してそれを聞いていたフェル博士が夜も明けてきた頃に、3人の話を基に事件を解決するというストーリーである。
私の場合、最初に読んだ時は別段たいした話だと思わなかったが、再読以降に、舞台仕立てのおもしろさ、伏線の張り方の巧妙さなどなど、じっくり楽しめたりする場合が多いので、この作品も再読した時に、視点によって語られる事件の様相がまるで異なるという「羅生門」的状況にいたく興奮した覚えがある。ただ、今回はそこに至るまでのファースがかったストーリーがちんたら進むので、今回は興が乗らなかったようだ。こうした初読はたいした印象がなく、再読しておもしろさを知ったといえば、カーの場合、「火刑法廷」も忘れ難い。
この作品はカーにして珍しくフェル博士などの名探偵が出てこず、自分の奥方が魔女なのではないかという設定やオカルトっぽい雰囲気も濃厚で、その不可解な設定もいつも通りけれん味がある。それが後半登場する探偵の推理で一気に解決するカタストロフィはカーのいつもやり口だが、この作品の場合、この後一段どんでん返しが用意されているのも楽しめるところである。それまでの伏線とは違った伏線が浮かび上がってくる仕掛けになっているのがいいのである....などと書いていたら、むしろこっちを読みたくなってきた(笑)。先日、古本屋で幸運にも見つけてきたところなので、こっちを先に読んでみるか。
私の場合、最初に読んだ時は別段たいした話だと思わなかったが、再読以降に、舞台仕立てのおもしろさ、伏線の張り方の巧妙さなどなど、じっくり楽しめたりする場合が多いので、この作品も再読した時に、視点によって語られる事件の様相がまるで異なるという「羅生門」的状況にいたく興奮した覚えがある。ただ、今回はそこに至るまでのファースがかったストーリーがちんたら進むので、今回は興が乗らなかったようだ。こうした初読はたいした印象がなく、再読しておもしろさを知ったといえば、カーの場合、「火刑法廷」も忘れ難い。
この作品はカーにして珍しくフェル博士などの名探偵が出てこず、自分の奥方が魔女なのではないかという設定やオカルトっぽい雰囲気も濃厚で、その不可解な設定もいつも通りけれん味がある。それが後半登場する探偵の推理で一気に解決するカタストロフィはカーのいつもやり口だが、この作品の場合、この後一段どんでん返しが用意されているのも楽しめるところである。それまでの伏線とは違った伏線が浮かび上がってくる仕掛けになっているのがいいのである....などと書いていたら、むしろこっちを読みたくなってきた(笑)。先日、古本屋で幸運にも見つけてきたところなので、こっちを先に読んでみるか。