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アントニオ・カルロス・ジョビン/波

2005年08月30日 18時02分38秒 | Jobim+Bossa
 67年にジョビンが再びオガーマンと組んだ作られた問答無用のボサ・ノヴァの名盤です。音楽的には「イパネマの娘」と同様、オガーマンの編曲したストリングスとコンボにジョビンのシングル・トーンなピアノ乗るというスタイルですが、「イパネマの娘」の方が、ほとんどオガーマンの作品といいたいくらいにオガーマン的なセンスによる洗練されたアレンジでまとめ上げられたいたのに比べると、こちらは、一見にほとんど似たようなつくりではあるものの、オケがやや後方に回り、コンポとピアノが全面に出ているのが特徴といえましょう。

 もちろん、オガーマンの巧緻なアレンジはこのアルバムでも健在ではあるのですが、例えばアップ・テンポの中、めまぐるしく変わるリズム・パターンとピアノの早いパッセージをフィーチャーした「赤いブラウス」や浮遊感と催眠的ムードが印象的な「ディアローゴ」、珍しくヴォーカルをフィーチャーした「モハーベ」、土着的なリズムとエキゾチックなメロディーが印象な「キャプテン・バカルディ」などはそうした変化を物語っている曲といえますが、要するにジャズ的な躍動感とボサ・ノヴァというより土着的なブラジリアン・テイストが強まったというところなんでしょう。これは当時のジョビン自身の変化を反映してともいえます。
 総体的には「濃い作品」という印象でしょうか。おそらくボサ・ノヴァという枠からジョビンがはみ出ようとしているプロセスであるが故にこうなったんでしょうが、こうした傾向はアレンジャーがデオダードにチェンジした後の2作でよりはっきりしてきますから、やはりその後のジョビンの音楽性を予見した音楽ではあったんでしょうね。

 という訳で、正統派ボサ・ノヴァ・アルバムとして非常に有名な作品ではあるんではあるし、一度聞き始めると気持ち良いことこのうえないアルバムではあるんですが、正直申して「イパネマの娘」ほど聴く頻度が高くないのは、前述の過渡期な感じがひっかかるのではないか?と思ってます。また、収録された曲はどれもそれなり有名な作品ではあるものの、やはり超A級な作品ばかりが目白押しな「イパネマの娘」に比べるとやや地味なのも、私みたいなミーハーにはちょいと減点要素かも....なんていったら怒られるも(笑)。
コメント (5)
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