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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

電線病の記録(MIT Magnum M3ic)

2005年05月30日 20時50分09秒 | PC+AUDIO
主要電源ケーブルをほぼ全てMagnum化したオレは我がシステムの音に満足していた。しかし、時折り地の底からきこえてくるのが、「オラ、オラ、インタコが全てShotgunじゃんか」という悪魔の囁き。んー、こうなったらと、試しに1本、MagnumのRCAにトライしてみる。なにしろ、オレは今、青春の記念を売っている最中だから、金はあるのだ(笑)。購入したのは、Magnum M3ic、定価117,000円の代物だ。これを定価126,000円のヘッドフォン・アンプにつなげるてみようというのだから、考えてみなくとも、かなりの暴挙ではある。とはいえ、安く買ったクセして、コレの定価がいくら!だと、自慢しても仕方がない。ともあれ、音を聴いてみる。

 くぉ~、さすがにMagnum!...予想通りの低音の沈む具合。重くも軽快でもなく調度良いタイトさだ。このさじ加減が絶妙、いかにもオレの好みにあってるんだよなぁ。次、これも予想通りなのだが、音がきわめて繊細、Shotgunのような割とロック向きな、鋭角的な音が心持ち丸まって、サックスの高い音などがヒステリックに響かず、極めてアコスティックな響きに変貌するのはさすがだ。この響きを瀟洒と呼ばずに、どんな響きが瀟洒だというのか。

 で、こんな瀟洒の音で聴くWINKはサイコーだ(おいおい-笑)。WINKの音楽は森高千里と並んで、90年代歌謡曲の最高峰だが、あのニッポン歌謡曲特有のもうこれ以上にないくらいに緻密でチープな賑々しさが、Magnumでは満喫できるのだ。Shotgunの場合、「128トラックを埋め尽くしたアレンジはこうだ、聴け!」って感じだけど、Magnumだと「128トラックを埋め尽くした音楽的意味はこうです」みたいに音楽的に表現してくれるって感じなんだよなぁ。意味はなくとも、意味ありげに聴かせてくれるといったらいいか。次はいよいよ、MG M1 Proline行きます(げっ)。

 ってな訳で、私のMITワールド第2期のはじまり、はじまり。(2004年10月26日)


※ 以上は、電線病まっさい中の去年の秋頃、某掲示板に書いたMITに関するネタです。XLRやRCAケーブルは結局、この後短期間で全てMagnum化してしまいました。電源ケーブルとスピーカー・ケーブルは更に上のOracleになった訳ですが、インタコネクトに関しては結果的にこれで打ち止めとなりました。ともあれ、当時の熱狂状態がわかる文章であります。
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RAKSIN, HERRMANN / Laura, Jane Eyre

2005年05月30日 20時36分19秒 | サウンドトラック
 20世紀フォックスはこのところ、1940~50年代の名作サントラをシリーズで積極的に復刻し続けているが、これもその1枚。内容は「ローラ殺人事件」と「ジェーン・エア」のカップリングというファンにとってはまさに待望のアイテムだ。
 一応、知らない方のため書いておくと、どちらの作品も映画そのものの評価もさることながら、映画音楽としてはハリウッド黄金期の名作中の名作である。前者はデビッド・ラクシン作なるテーマ曲が非常に有名であり、欧米では映画音楽というカテゴリーを超え完全にスタンダード化した結果、現在でもジャズ・ミュージシャンに良く取り上げられている作品であるし、後者はおそらく復刻、再録を含め、一番CD化されているおそらくバーナード・ハーマン最初期の名作でなのある。

 それにしても、両作品ともオリジナル・サウンド・トラックという形で今の世に甦ったのは、実は意外であった。なぜならば、これらの作品はいずれも40年代の前半に制作されており、サウンド・トラックそのもの存在が危ぶまれまれていたの加え、仮に現存していたとしてもレコーディングが40年代前半とあっては、音質的には到底期待できないことから、私も含めファンとしてはスコアによる再録音で、その音楽を楽しむ他はないと思っていたからだ。
 ところが、この復刻盤を一聴して、まず驚いた。「これが、ほんとうに40年代の録音なのか?」とちょっとばかり度肝を抜かれたくらいに音質が良いのだ。近年の技術の進歩とは凄いものだ。マスターには多数存在していたであろうノイズもきれいになくなり、深々とした低音にささえられ、壮麗なオーケストラサウンドが見事に聴こえてくる。40年代のモノラル録音とはいえ、これなら音楽に没頭できようというものだ。

 さて、内容をついて少々書いておこう。まず「ローラ殺人事件」だが、これまで存在したスコアによる再録音は数分間のテーマ部分しかなかったので、サントラ全体から約30分にわたって再構成された(らしい)組曲は貴重だ。しかもうれしいことに、この組曲、例のテーマと変奏という形で構成されており、あの優雅で、どことなく世紀末的な情緒を湛えたテーマを、りシャンソン風、キャバレー風なジャズ、ワルツ、子守歌、緩徐楽章風などなど様々なアレンジにのって次々に演奏されていく様はけだし絶品である

 続く、ハーマンの「ジェーン・エア」は、近年、マルコポーロからほぼ全曲に近い形でデジタル録音されたアルバムも出ているし(アドリアノ指揮&スローヴァーク放送響)、ハーマン自身が60年代にロンドン・フィルを振った組曲(デッカ)も存在しているが、前者は音質的は万全だし、オケもうまいのだが、あまりにさらりと流れるように演奏しているため、いまひとつハーマン流のニューロティックさだとか、ドラマ的な起伏みたいなものが希薄だし、後者は演奏、雰囲気、録音共に揃ってはいたものの、10分余りと短いのたまにキズだったのだが、本命のサントラを聴くと、予想通りに濃厚な歌い回しに、時代がかったドラマティックなメリハリなどが感じられた、まさにコレだという感が強い。
 それにしても、約30分14曲の演奏で現れては消える「ジェーン・エア」の旋律は魅力的だ。癒しがたい恋愛感情と、それに同居する不安な情緒をこのくらい見事に表した旋律も他に類例がないのではないたろうか。ハーマンはこの種の分野では、その後「めまい」や「マーニー」そして「愛のメモリー」などで、さらに一歩高みに上り詰めた表現を見せることになる訳だが、この作品の持つ、若書き故のナイーブさみたいな感触もやはり捨てがたい魅力があり、このオリジナル演奏によって、その魅力を再認識したというところである。(2003年1月4日)

コメント (2)
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