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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

渡辺香津美/Mo' Bop (SACD)

2005年05月03日 16時22分07秒 | JAZZ-Fusion
 レゾナンス・ヴォックス以降の渡辺香津美の作品って、どうもコレっていうのがなくて、頻発するアコスティック物、企画物には、まぁ、アーティスト側にはいろいろな言い分があるとは思うんですが、少々食傷していたキライがないでもなかったというのが正直なところ。なので、オールスターによるライブ盤「ワン・フォー・オール」あたりをきっかけに、この作品が登場したのは実に溜飲ものでした。

 さて、このアルバム、リチャード・ボナとオラシオ・エルネグロ・エルナンデスを擁したトリオによって収録された訳ですけど、スパイス・オブ・ライフやレゾナンス・ヴォックスあたりのソリッドでハードコアな渡辺香津美が復活してます。音楽はまさに充電期間で溜まりに溜まったパワーを一気に解放しているかの如き様相を呈していて、多くの演奏は極めてハイテンション、曲展開は壮絶そのもの。

 これが一番出ているが、2曲目の「Dada」と3曲目の「Robo」であたりですかね。とにかく渡辺は演奏しているミュージシャンが思わず奮起、発奮してしまうような仕掛けを満載した曲をつくるのがうまくて、前者ではコードによるテーマと高速な16ビートの組み合わせにエルナンデスが手数を全開してますし、後者でハードエッジなリフを持ったテーマと先行する渡辺のぐにょぐにょギターに、煽られてボナが見事にのせられてます(笑)。うーん、凄ぇ!。

 他の曲だと5曲目「Backdrop」のNYの変態フュージョンみたいな、とっ散らかった感じだとか、80年代に回帰したような8曲目「Neo」も良い感じ。回帰といえばオーラスのは「Tricorn」には、最後の方にちらっと「Unicorn」が登場しますが、このメンツで全部やってくれとか思うのは私だけでしょうか。
 ちなみに、こうした曲に混ざって収録された「Ring of Life」「Momo」といったバラード系の曲は、こうしたハイテンションな楽曲目白押しの中で聴くと、絶妙なリラクゼーションを発揮してくれて、とてもいい感じでした(なにしろここ数年、こういうのが冒頭から一時間も続くアルバムばっかりでしたからね-笑)。

 なお、本作品はSACDとCDのハイブリッド盤として出ましたので、当然私はSACD層を聴いた訳ですが、こういうハードな作品でも高域がキレイに伸びているせいか、突き刺さしてくるような切り込み感だとか、鋭角的なキレみたいなものがあまりなく、むしろアコースティックな音に聴こえてしまうのは、SACD故なんでしょうね。まぁ、中には、それ故にこの音つまんないという人もいるかもしれませんけど。

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ロッシーニ弦楽のためのソナタ 他/イタリア合奏団

2005年05月03日 14時21分53秒 | クラシック(一般)
 このところ序曲集をしこたま買い込んだ勢いのついでに購入してきたアルバムです。「弦楽のためのソナタ(全6曲)」は、ロッシーニが12才の頃に書いた作品らしく、昔からいろいろな人が演奏してレコード化、CD化されてましたので、作品の存在は知ってましたけど、恥ずかしながら、さきほど初めて聴きました。今朝みたいな、天気の良い、休みの朝に聴くにはぴったりの作品ですね。一聴して気に入りました。

 で、この6曲、基本的には喜遊曲風というか、愉悦感あふれるもので、モーツァルトとかハイドンの時期に共通した、耳障りの良い、すーすー流れるBGM風な訳ですけど、もうしっかりロッシーニという刻印が張り付いているのが凄いというか、にわかに12才頃の作品とは信じがたいものがものがあります。
 「このガキ、どこからこんな汲めども尽きぬ楽想が湧いてきやがるんだ」的な神童風な音楽ってのは、モーツァルトの初期の作品がまさにそれですけど、他にはメンデルスゾーンの八重奏曲なんかもその部類だと思います。この「弦楽のためのソナタ」は、さすがにそれと同等とまでいかないけど、かなり迫るものがあるんじゃないですかね。とにかく、豊富な楽想を天衣無縫かつ無造作に繰り出しつつ、出来上がった音楽がなにげに完璧なブロポーションを保っているあたり、まさしく天才のなせる技です。

 全6曲の中では、第1番と第3番の第1楽章が後年の序曲群のブロトタイプみたいな仕上がりで、ロッシーニ・クレッシェンド的な進行がちらほらするあたり思わずにんまりできます。第5番第3楽章はユーモラスな表情がいかにもロッシーニ、第6番第1楽章は流れるように楽想を繰り出す、まさにモーツァルト的な神がかり音楽で、短調になるあたりもモーツァルト風。ちなみには第3楽章は「ウィリアム・テル序曲」風なロッシーニ・クレッシェンドが出てきて、拍手喝采ってな感じ。
 余白に収録されたドニゼッティの弦楽四重奏曲(弦楽合奏版)ももちろん初めて聴く曲ですが、こちらの勉強不足があるのだとしても、ロッシーニに比べるとやっぱ個性がスタイルに埋没しちゃっているかな....って印象。BGMとして聴くには気持ち良い音楽なんですけど。

 録音は87年。日本人スタッフが録音したものらしく、楽器に近接したかなり克明な音という印象ですが、録音した宮殿がたぶんかなり天井の高いんでしょう。光沢のある弦楽器の鮮明な音とリッチな残響のブレンドがされて、けっこう私好みの音質でした。 
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