名前からわかる通り、周(チョウ・ワイ)は台湾の女性シンガーです。最近は台湾ポップスにもすっかり疎くなってきまして、取り上げるのは数年前のものばかりですが、これも5年前、つまり1999年の作品。多分、デビュウ作です。ちょいと前に取り上げた楊乃文とか、未だ取り上げてませんけど、同じ頃デビュウした莫文蔚なんかは、同じ台湾ポップスでもニュー・ウェイブ的な存在でしたが、この人は正統派台湾ポップスの大型新人って感じで、このアルバムも一般的にイメージされる台湾のポップスの美点が、とても良い形で網羅された傑作です。
繰り返しになりますが、90年代中盤頃までの台湾ポップスとは、アメリカンAORと日本的なニューミュージックの折衷した音楽をベースにして、そこに情緒溢れるメロディーと大陸的な感覚がブラスしたようなバラード主体の音楽だったと思います。 特にその旋律は、他のアジア諸国のそれとは違い、バタ臭さや日本人から見た異国情緒のようなものがほとんどなく、日本人にも極めて親しみやすい、素朴で深いヴァイブレーションのようなものが溢れていて、ひょっとすると台湾人は日本人より日本人受けするメロディーをつくる天才なのではないかと思えるくらい、素晴らしい曲によく出会いますが、このアルバムに展開されるのは、まさにそうした音楽なのです。
例えば1曲目などはそれを象徴している曲といえるかもしれません。ほのかなノスタルジーと淡い情緒を感じさせる滑り出しから、切なさを感じさせるコーラスに流れるように進み、サビの部分ではドラマチックに盛り上がる....というメロディーのツボを突きまくったものになってますし、デイブ・グルーシンの映画音楽あたりの影響受けたようなピアノに、日本のニュー・ミュージック的なストリングスのとりあわせも実にしっくり合っていて、まさに台湾的なサウンドになっているのです。
もちろん、それを歌う周のクリームみたいな甘くて、ちょい舌足らずなヴォーカルはチャーミングですし、ちょっと素朴ではあるが、心の底から誠実さそうな感情表現は、ヴォーカリストとしてリスナーを惹きつけずにはおかない魅力があります。
私が最後に台湾に行ったのは、2000年の暮れ頃でしたけど、調度これに続く2作目のアルバムが出たばかりで、街のいたるところでポスターが貼られ、TVでは新曲が盛んにオン・エアされたりして、かなりブレイクしてました。その前年に訪台した際に、なんだかよくわからないまま、彼女のデビュー作を購入し、「こりゃ、傑作だ」とばかりに1年近く愛聴してきた私は、「やっぱ、この人ブレイクしたんだな」と、なんだかうれしいような、誇らしいような気分になったものでした。
繰り返しになりますが、90年代中盤頃までの台湾ポップスとは、アメリカンAORと日本的なニューミュージックの折衷した音楽をベースにして、そこに情緒溢れるメロディーと大陸的な感覚がブラスしたようなバラード主体の音楽だったと思います。 特にその旋律は、他のアジア諸国のそれとは違い、バタ臭さや日本人から見た異国情緒のようなものがほとんどなく、日本人にも極めて親しみやすい、素朴で深いヴァイブレーションのようなものが溢れていて、ひょっとすると台湾人は日本人より日本人受けするメロディーをつくる天才なのではないかと思えるくらい、素晴らしい曲によく出会いますが、このアルバムに展開されるのは、まさにそうした音楽なのです。
例えば1曲目などはそれを象徴している曲といえるかもしれません。ほのかなノスタルジーと淡い情緒を感じさせる滑り出しから、切なさを感じさせるコーラスに流れるように進み、サビの部分ではドラマチックに盛り上がる....というメロディーのツボを突きまくったものになってますし、デイブ・グルーシンの映画音楽あたりの影響受けたようなピアノに、日本のニュー・ミュージック的なストリングスのとりあわせも実にしっくり合っていて、まさに台湾的なサウンドになっているのです。
もちろん、それを歌う周のクリームみたいな甘くて、ちょい舌足らずなヴォーカルはチャーミングですし、ちょっと素朴ではあるが、心の底から誠実さそうな感情表現は、ヴォーカリストとしてリスナーを惹きつけずにはおかない魅力があります。
私が最後に台湾に行ったのは、2000年の暮れ頃でしたけど、調度これに続く2作目のアルバムが出たばかりで、街のいたるところでポスターが貼られ、TVでは新曲が盛んにオン・エアされたりして、かなりブレイクしてました。その前年に訪台した際に、なんだかよくわからないまま、彼女のデビュー作を購入し、「こりゃ、傑作だ」とばかりに1年近く愛聴してきた私は、「やっぱ、この人ブレイクしたんだな」と、なんだかうれしいような、誇らしいような気分になったものでした。