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日本作曲家選輯/伊福部昭

2005年02月24日 23時30分00秒 | クラシック(20世紀~)
 NAXOSから出ている「日本作曲家選輯」シリーズから伊福部先生の作品を集めた待望の一枚。

 収録作品は、「シンフォニア・タプカーラ(1954、1979改訂)」と「ピアノとオーケストラのためのリトミカ・オスティナータ」「SF交響ファンタジー第1番」と、ざっくりいえば、先生の代表的な交響曲、協奏曲、ゴジラに代表されるサントラという作品が網羅されているから、伊福部入門には最適だとは思うんですけど、ちょっと演奏がなぁ。

 ロシアの演奏陣ということで、先生の音楽的体質からすると、そうハズれた解釈にもならないだろう....と予想してたんだけど、実際聴いてみたら、違和感ありまくり(笑)。ここは存分に歌って欲しいと思うところはさらっと流され、重厚にリズムを刻んで欲しいところは、弦が動きが重い上に、妙なところでテンポを動かすものだから、時にリスムスキー・コルサコフだのボロディンなんかを聴いているような気になってしまい、聴いていて居心地の悪いことしきり。

 ただ、演奏そのものはうまいんですね。だからこそ、こういう演奏を聴くと、「やっぱ日本人には日本人にしかわからねぇ、音楽観みたいなものがあるんだろなぁ」と妙に感心しちゃいました。だって、昔の日本のあまり上手いとも思えないオケの演奏聴いて、「これが西洋の機動力抜群のオケだったら、どんなに聴き映えするだろう」と思ったりしたんだけど、それが半ば実現するとこうですもんね。きっと、ウィーンの人が、アメリカ人の演奏するウィンナ・ワルツとかシューベルトなんか聴くと、こんな違和感を感じるんだろうなと思う。

 そんな訳で、なにやら「国際空港のレストランで食う和食」みたいな違和感がある演奏ではあるんだけど、作品の国際化、古典化というのは、むしろこういう脱ローカル化作業みたいなところから始まっていくんだろうな....という気もしないでもないので、なんだか立派に育った我が子が、旅だっていくのを後ろから眺めている親のような、なんだか誇らしいような、哀しいような複雑な心境になる演奏でもあります。

 あっ、でも先生の作品は昔から海外で演奏されてんだよな。その時はどんな演奏だったんだろうか(笑)。
コメント (2)
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