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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

ジョバンニ・ミラバッシ・トリオ/Dal Vivo!

2005年02月07日 22時54分55秒 | JAZZ-Piano Trio
 澤野工房から強力にプッシュされている人で、エンリコ・ピアラヌンツィと同じイタリア人、ただし世代的にはぐっと若くて、多分現在30代前半くらいだと思いますから、ジャズの世界じゃ、まだまだ新人のクチでしょう。

 で、この人もひとくちにいってしまえば、「絵に描いたような欧州ジャズ、ピアノ・トリオ」なワケなんですけど、この人の場合、世代的にビル・エヴァンスやキース・ジャレットというより、いきなりエンリコ・ピエラヌンツィから直接的影響を受けているような感じがします。私の聴いたのは"Dal Vivo"というライブ盤ですが、ほとんがオリジナルで、ある種の美的感覚に裏打ちされた動的な感覚、敏捷さ、メロディを理知的に歌いあげていくあたりのセンスはいかにもそんな感じがしました。

 ただ、ピエラヌンツィのような時に熱気に乗じてフリーがかった展開になるようなところや、時に耽美的ムードに耽溺しきってしまう危うさ(魅力)は、この人場合ほとんどないといってもよく、もう少しナイーブでオーソドックス叙情性があるのは、この人の若さというより、たぶん特性なんでしょう。

 あと、いかにもヨーロッパ的なメランコリーを感じさせつつ、うまく構成されたあえていえば非常にプロポーションの良い曲を書く点と、汲めども尽きぬという感じで繰り出すフレージングの豊かさは彼独自の魅力というべきだと思います。このアルバムは、8分とか10分とかの比較的長い曲が多いのですが、曲良さとフレージングの豊かさでダレることなく、一気に弾き切っているあたりは、ミラバッシの実力のほどを感じさせますね。

 ただし、アルバム全体を通して聴くと、時に氾ヨーロッパ的なジャズの典型に彼自身が埋もれてしまうところが散見するのもまた事実。これで、もうひとつ抜けきったような個性が感じられれば、満点なんでけどね。まっ、こっちももう未だ聴き込みが足りないので、しばらくしたらまた印象もかわってくるかもしれませんが....。

PS:とはいえ、「エヴァンスのモンタレーでのライブに匹敵する」って、賛辞はちょいとばかり大げさじゃないすかね(笑)。

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ヘンリー・マンシーニ/アルティメット・ピンク・パンサー

2005年02月07日 22時12分09秒 | サウンドトラック
 ピーター・セラーズ主演、ブレーク・エドワーズ監督、音楽はヘンリー・マンシーニという布陣で、計6本(もあったんですね)作られた、ご存じ「ピンク・パンサー」シリーズの音楽からベスト選曲で構成されたコンピレーションです。
 ブレーク・エドワーズとマンシーニは相性が良いらしく、これらの作品の他にも、あまりといえばあまりにも有名な「酒とバラの日々」とか「ティファニーで朝食を」とかあるワケですが、私はエドワーズの監督作品というと、あのスラップスティック風味というか騒々しいドタバタ感がきらいで、どれもほとんど楽しめためしがないという人間なので、「ピンク・パンサー」シリーズもたいていは見ているはずですが、ほとんど記憶にありません。

 そんなワケなので、このシリーズ、マンシーニの音楽は大好きなのですが、シリーズ1枚、1枚をそろえる気もなれなかったので(しばらく前に出たマンシーニ・ボックスでも2作目以降の作品は冷遇されてましたし)、こういうアルバムは私にとっては朗報です。

 特にうれしかったのは、もう20年ぶりにくらいなると思いますが、久々に「ピンク・パンサー3のテーマ」が聴けたこと。例の「ピンク・パンサーのテーマ」にのって、パロディ的に「ヒッチコック劇場」だの「雨に歌えば」、「サウンド・オブ・ミュージック」あたりが出てくるのが楽しくて、パロディ好きの私としては昔から大好きな曲だったんですが、やっと聴くことができました。ついでにコーラスをフィーチャーして、これぞマンシーニ節という感じの、ビューティフルな「偉大な贈り物」を聴いたのも、20年ぶりくらいになると思います。当時はマンシーニがアコピでなくエレピを弾いているのに、モダンが印象を持ったものですが、今、聴くとフュージョン全盛期だった時代のムードを感じさせました。同じく「アンティル・ユー・ラブ・ミー」も同様。「4」の「香港の花火」や「クルーゾー警部のテーマ」あたりの曲も、「そういやぁ、こんな曲もあったよなぁ」って、懐かしかったです。できれば、ディスコのリズムであのテーマを痛快に演奏した「ピンク・パンサー4のテーマ」も聴きたかったところですが、まぁ、これだけ聴かせてくれれば、贅沢はいえません。


 それにしても、マンシーニって奥が深いです。僕は映画マニアだった、70~80年代はもっぱらイタリア的旋律美みたいな評価が定着していましたし、90年代は「ビーターガン」等に代表されるジャジーで、ダイナミックな音楽がもっぱら再評価されていたような気がします。一方、現在はというと、歴代のマンシーニのサントラ盤では一番地味なところに置かれていた、シングル・トーンのピアノ、優雅なストリングスをフィーチャーしたカクテル風におしゃれな諸曲がウケでいるみたいです。まっ、それだけ音楽の懐が広いということなんでしょうけど、そのうち「ハタリ」みたいなマンシーニの行進曲調のものが異常にウケまくったりする時代が来るのかなと思ったりすると楽しいです。

PS:マンシーニで個人的に一番再発してもらいたいのは、ジャクリーン・ビセットが主演した「シェフ殿、ご用心」だなぁ。わくわくするようなテーマと「ナターシャのテーマ」がもう一度聴きたいっす。
コメント (3)
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