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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

リ・ワークス・オブ・アート・オブ・ノイズ

2005年02月17日 23時08分25秒 | ROCK-POP
 80年代中頃、サンプラー等デジタル楽器の普及の先鞭をきる形で登場したアート・オブ・ノイズは、全ての楽音をサンプリングされた現実音で構成するという(本当はそうでもなかったわけですが-笑)、ちょいと前ならミュージック・コンクレートと呼ばれる現音系な手法を、リズミカルなダンス・ミュージックでやらかした、まぁ、大げさにいえばポップ音楽で、ある種の技術革新したイギリスのプロジェクトでした。

 このアルバムは一般的には彼らが一番人気のあった時期、つまりトレバー・ホーンと決別後のチャイナ・レーベル時代のライブを含むコンピレーションです。実はこの作品、アート・オブ・ノイズでは私の唯一CDで持っていなかった作品でして、今となるとなかなか中古盤等でもみかけなかったのですが、先週、オークションでめっけて即ゲットと相成りました。便利なもんですね(笑)>ヤフオク。

 で、十数年ぶりにきいたこのアルバムですが、けっこう「普通の音楽」に聞こえたのが意外でした。当時は最先端のエレクロニクス技術の粋を集めた音楽の実験みたいな趣も強く感じたものですが、彼らの技術革新はこの十数年の間に多少の水増しを伴って今や当たり前のものとなってしまったせいで、かれらの技術の彼方のある「素の音楽」が、昔よりよく見えたというところなんでしょう。当時ヒットした「レッグス」なんて、今聴くととても上品で、格調の高さすら感じさせる極上のダンス・ミュージックだったことがわかります。
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マーラー/交響曲第6番「悲劇的」

2005年02月17日 21時30分00秒 | マーラー+新ウィーン
 マーラーの交響曲は、合唱だの独唱が入る声楽付きのものと、声楽なしの器楽だけのものがあって、前者で有名なのは第2番「復活」に第8番「千人の交響曲」、後者では映画「ベニスに死す」や「アダージョ・カラヤン」ですっかりお馴染みの「アダージェット」が入った第5番に、第1番「巨人」あたりになるんでしょうが、第6番は後者に属する傑作です。私といえば、昔は5番とか9番が好きだったんですが、さすがに最近は飽きがきたのか、ここ数年のお気に入りはなんといっても6番。例の唐突に迎える衝撃的なエンディングが知られる曲ですが、私が好きなのも、もちろんこの最終楽章です。

 さて、この楽章、全4楽章中最長で、演奏するのに30分くらいかかります。一応ソナタ形式らしいのですが、実際の構成は複雑で難解そのもの。私の場合、第1主題はこれ、第2主題はこうで....などと形式的にマーラーを聴こうとすると必ず挫折するもんで(笑)、30分という時間はかなりの長丁場なはずですが、あまりそう感じないのは、いろいろな聴きどころが次々に繰り出されるからでしょう。具体的にいえば、

 まず、冒頭の眩惑的なサウンド、ここで聴けるオーケストレーションは、本当にこれまで聴いたこともないようなもので、リスナーを悪夢の世界に引きずり込むような力がありますね。いきなりブチかましてくれてますって感じ。
 以降続く長大な本編は、ハイライト・シーンが3回あります。この楽章を称しマーラーは「英雄は敵から3回の攻撃を受け、2度立ち上がるが、3回目には木のように倒れてしまう」と語ったそうですが、戦闘シーンを思わせる精力的で荒れ狂うような部分と混濁する精神の中で過去を回想するようなシーンが交錯する中、英雄が強烈な打撃を食らうかのようなシーンが3回やってくるんです。この部分って、けっこう下世話なスリルがあるんですよ。「おぉ、くるぞ、くるぞ、キターッ!」みたいな(笑)。で、その果てにやって来るオーラスの衝撃。厭世観と虚脱したムードの中、唐突に迎える衝撃的なエンディングはもう心臓に悪いくらい....。

という具合です。そういえばこの曲、「悲劇的」ってサブタイの他、希に「古典的」と呼ばれることもあるようですが、この呼び名が広まらない訳です。だって、この楽章なんざ、要するに上出来な交響詩というか、架空のサントラみたいに出来ですからね。

 演奏ですが、単に手近にあったという理由で、さっきまでアシュケナージがチェコ・フィルを振ったSACD盤を聴いてました。録音は極上だし、破綻がない優等生的な演奏ではあるものの、これといって特徴のある解釈が出てくる演奏ではないような気がしました。続いて、同じく手近なところにあった、ティルソン・トーマスがサンフランシスコ響を振ったやはりSACD盤にスウィッチして今聴いてますが、こちらはライブ録音で、まるでホールに居るような優秀録音です。おまけにライブ特有な熱気や推進力があって、これはなかなか聴かせる第6番ですね。
 あっ、そうそう、「第6番のライブ」思い出しましたけど、大昔、あの謹厳実直なジョージ・セルがライブで燃えに燃えたCBS盤ってありましたよね、なんか懐かしいなぁ。私なんか、これで6番を勉強したクチなんで、なんか妙に聴きたくなってきました。どっかにCDあるハズなんだけど、後で探してみよう。クラシックはこういう同曲異演にハマると、ほとんど泥沼状態になったりするんですけど、それもまたひとつの楽しみですね。近いうちに第6番第4楽章のハシゴしよっと....。

※ ちなみに3回ハンマーが鳴るみたいなこと書きましたけど、実は現在の大抵の演奏では3回目のハイライトでハンマーは鳴りません。

コメント (1)
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