わがガーデンの白い花、ハクモクレンが散りはじめました。入れかわるようにイチジクが小さな葉っぱをつけはじめました。全面展開していた花ニラ君たちは撤退を開始し、入れかわるようにタンポポ君たちがバッコを始めています。
今日の写真はわがガーデンで春の日差しを全身に受けてのびのびとバッコしているタンポポ君を撮ったものです。よろしければクリックしてご覧くださいませ。
写真をご覧になればおわかりいただけるのではないかと思うのですが、タンポポ君たちはハナニラ君たちのようにと密集してバッコすることはなく、互いに適度な距離を置いてバッコしているように思われます
そこで探究心旺盛なGGIはタンポポ君たちに質問を試みました
「もしもしタンポポ君、日光浴をお楽しみところおじゃまして申し訳ありませんが、ちょっとお聞きしていいですか?」
「誰かと思ったらあのイチャモン名人のGGIのおっさんか、質問するはいいけどヘンな屁理屈をこねたりしないでね」
「ぢいじょうぶ、ヘンなことは聞きません。とても大切な、君たちの存在に関わる質問をしたいのです」
「ボクたちの存在に関わる質問?なんだか気持ち悪いなあ・・・」
「だいじょうぶです、あのねえ、君たち、あの花ニラ君たちのように密集しないで、互いに適度な距離をおいて存在しているように見えるけれど、互いに距離を置いているのは何か理由があるのでせうか?」
「きゃあ~、GGIには似合わないえらく真面目な質問やなあ。それは極めてグッドな質問です。確かにボクたちの存在に関わる質問です。しかしながら答えるとなると、GGIのオツムが理解できるかどうか、問題はかなり複雑というか学問的なのです」
「そんなもったいをつけずに、GGIにも理解できるように簡単に説明していただけませんか」
「簡単には説明できないけれど、思いっきり分りやすく説明すると、花ニラ君たちは幼稚なガキであるけれども、ボクたちタンポポはリッパな大人であるということです」
「なぜハナニラ君たちはガキであり、君たちは大人なの?」
「それはこういうことです。彼らは互いの距離を取るという必要性を感じず、人間のガキどもみたいにみやみやたらに寄り集まってワイワイ騒いでいるだけなのです。互いの距離を取ることを意識しない、その必要性を感じないのはガキです。この間隔は高等な感覚なのです」
「つまり、ちゃんとした大人は互いに適度な距離を保つという感覚を身につけているのです。むやみやたらに互いにくっついたりはいたしません。つまりに互いを個として尊重し合うことが大切であることを知っているのです。だから、適度な距離を保っているボクたちタンポポは大人であると言えるのです。決してガキなんかではありません。ハナニラなんか、スプリング・スターフラワー、私たちは春の地上の星なのよ浮かれていますが要は幼稚な存在に過ぎないのです」
「なるほどなあ、分かったような気もするけれど、何か我田引水の屁理屈のようにも思えるなあ・・・」
「GGIのオッサン、我田引水の屁理屈だなんて、失礼なことを言わんでほしいなあ。いま言ったことは科学的な研究成果に基づいたものなのですよ」
「ほんとかね?」
「ほんとうです、いま言ったことは米国のエドワード・T・ホールという著名な学者の《隠れた次元》という本(みすず書房)の中に書かれているのです」
「彼は言っています。社会的な動物である人間の個体どうしの距離感を以下のように分類しています。すなわち、密接距離、個体距離、社会距離、公衆距離という四種類の距離があるとしています。」
「密接距離というのは母親と子どもとか恋人たちのような親密な関係にある人間どうしにおける距離であり、その距離は45センチ以下。個体距離というのはたとえばパーティや立ち話などの私的なコミュニケーションの場で人間が自然にとる距離であり、45~125センチ。社会距離というのは仕事のうえでの面談など、公的なコミュニケーションの場での距離であり120~360センチ。公衆距離と言うのはたとえば演説や講演にさいしての話してと聞き手の距離などのことです」
「このホールさんの本にはこれらの距離感を示す具体例が写真で豊富に示されています。たとえば停留所で電車を待っている人たちが見事に一定の距離を保ちながら並んでいる写真などが示されています」
「これらのホールさんが示している具体例の中で一番興味深いのはケネディが大統領に当選したことが決まった瞬間をについてエピソードです。当選の知らせがあるまではケネディとその周囲の人々はいわば友人のような近しい関係です。ですから選挙事務所に集まった人たちは、まるでハナニラ君達みたいに和気あいあいケネディを中心に互いに体を接するほどに密集しています。ところが、当選の知らせが届いた瞬間、波が突然引いたかのように彼を虜君で取り囲んでいた人々はさっと後ろにさがり、ケネディと彼を取り囲んでいた人たちのと間に大きな空間が生まれたのです」
「この瞬間からは、大統領になることが決定した瞬間から、ケネディはもう単なる仲間や同志や友人ではなく、栄えあるわが米国のわれらが誇るべき大統領であるという感覚が人々に「密接距離」や「個体距離」ではなく「社会距離」を取らせたのです」
「どうですかGGIさん、分りましたか?話が少々脱線しましたが、かようなしだいでボクたちは互いに尊重しあって適切な距離を保っているのです。なにごともガキみたいな真似をしないで互いに尊重しあって適切なる距離を保つこと、これが生きていくうえで大切であるということです」
「わかりました。そういえば後にフランスの大統領を務めたあのドゴール将軍も自らの威厳を示すために、意図的にまわりの人物を近づけないようにしていたとされていますね。彼は大臣などの政府首脳や役人に接するとき、数メートルの距離を置いて彼らを立たせ、あれこれ話をしたり指示を下していたのですが、彼は自分の威厳を保つために意図的に社会的距離を利用していたということになるのでせうか?」
「その通りです。要するに何かと言うと群れたがるのは、徒党を組みたがるのは幼稚な花ニラたちと同じということです。ちゃんとした大人は群れたりいたしません」
「なるほど・・・そうするとGGIはちゃんとした立派な大人ということになるなあ・・・」
「GGIのおっさんん、我田引水、曲解はいけませんよ。GGIはただの孤独で孤立しているだけのヘンクツ高齢者にすぎません」
「御高説ありがとう。君たちがこんなに雄弁だとは思ってもいなかった。質問なんかするんじゃなかった。もう君たちはヘリクツをこねすぎた。だからサッサとわがガーデンから撤退しなさい!」
グッドナイト・グッドラック!