昨日の午後、やっと市役所の支所で固定資産税を払いこんで、まったくやってられないよなあ、我が庵、ちっぽけなのに、建立してまだ時を経ていないからと高い税金をむしり取られたりして、などとぼやきながら近くの湖岸にある城跡の公園がぶらついておりましたら、カメ君が一匹、鎮座しておりました。梅雨の晴れ間に甲羅干しというわけでせうか、じっと動きませぬ
今日の写真はこのカメ君を撮ったものです。GGIの手のひらより一回り大きいぐらいのカメ君です。よろしければクリックしてご覧くださいませ
このカメ君、生きているのかなあと思って甲羅をつついてやりましたら出していた後ろ足をひっこめました、お尻をつついてやったら首を出しましたのでGGIは話しかけてみました
「おいカメ君よ、こんなところで何をしてるんや?」
「うるさいなあ、見ればわかるでしょ!誰かと思ったらヒマ人のGGIのオッサンか、あのねえ、ボク、いま昼寝している最中、じゃましないでください!」
「カメ君が昼寝か・・・あのなあ、カメ君よ、昼寝するのはウサギじゃなかった?」
「うるさいなあ、またあの古い話か、蒸し返さんといてほしいなあ、実を言えば、オッサン、あのウサギ君とのレースのとき、ボクも昼寝していたんです」
「何?君まで昼寝していた?これはいったいどういうことや?」
「GGIのオッサンは知らないのですか、あの話の真相を?」
「いや、風の噂では聞いている、あのレース、インチキ疑惑濃厚と言う話はなんとなく聞いてはいるけどなあ・・・」
「GGIさん、世の中インチキだらけなことぐらいご存知でしょう。サッカーも野球も相撲も,あれは八百長だったとかいう噂がよくあるでしょう。ウサギとカメのレース、あれ、実は大のインチキだったことが後になってから明らかになっているのです」
「どういうことや?」
「レースが終わったあと、ウサギ君が、どうも納得がいかん、確かに昼寝はしたけれどほんの短時間や、あれで負けるはずがない、と言って文科省のスポーツ不正調査委員会に申立てたんです。その結果、《ウサギとカメのレース真相解明調査委員会》が秘密裡に立ち上げられ厳重な調査が行われたのです。」
「それでどうなったのや?」
「この調査委員会、福島原発事故の事故調のようないいかげんなものでありませんでした。福島原発事故に関しては東電の事故調、政府の事故調、国会の事故調、民間の事故調が設けられましたが、多少なりともがんばったのは《福島原発事故は人災である》と断じた国会の事故調だけ、いずれの事故調も事故原因の解明には至っていないのですが、ウサギとカメ調査委はそんな甘いものではありませんでした。真相を解明することに成功したのです。」
「委員会で最初にウサギ君は強力に主張したのです、《あのですねえ、確かに私は昼寝しました。でもほんのいっときのことです。私は実は最近オシッコがとみに近くなっておりますので1時間半か2時間ぐらいでからなず目が覚めしてしまうのです。ですから、あのレースでもこれ以上の時間昼寝したとは考えられません。あのレースの距離とカメのノロマ振りを考えますと、この程度昼寝したぐらいではカメに敗けるはずがないのです》。この証言はなかなか説得力があり、遂にボクが取り調べられることになってしまいました。」
「それで真相はどのようなものやったんや」
「はっきり申し上げて、あのレースはボクたちカメとフクロウ君の大合作によるインチキレースだったのです。ウサギ君がわの弁護人である動物学者が疑問を呈したことがきっかけで真相がばれてしまっのです。この弁護人、《みなさん、スタートしたときのカメ君とゴールしたときのカメ君が同一のカメであるという証拠は何もありません。たとえ別のカメだったとしてもそれを見抜くのは容易ではありませんが…カメの人相なんか似たようなものでありますから、でも私にはわかります、なんならDNA鑑定すればよいのです》と鋭いことを言ったのです」
「それでボクいろいろあのマスゾエ君みたいにみじめったらしい言い訳するのが面倒になってしまって、白状してやったのです、レースが始まる前に、ボクの友人であるもう一匹のカメ君クンがゴール近くの草むらに潜んでいて、その上空をフクロウ君が飛び回り、ウサギの様子を見張っていたのです。フクロウ君が上空がら《ウサギが近くまでやってきた》と言うサインをゴールの近くにいるカメ君に送ると、友人のカメ君がウサギ君を後目にゴールイン、カメの勝利とあいなったのです」
「カメ君、君はとんでもないことしたなあ」
「とんでないかどうかは別として、この話は和歌山のほうでは良く知られている話ですので、GGIさんも以下のサイトを一度読んでみてくださいね。」
http://hukumusume.com/douwa/pc/jap/08/13c.html
「でもですねえ、GGIさん、真相解明委員会では、実はボクも昼寝していたことまでは恥ずかし過ぎて言い出せませんでした。スタートしてまもなく上空で様子を眺めていたフクロウ君に《あとはよろそく》というサインを送ってから、すぐに昼寝することにしたのです」
「そうかあ、でもおかしいなあ、真相解明委員会で真相が解明されたのなら、なぜその結果を世間に広く公表せんかったのや?今でものノロマなカメが油断していた横着なウサギに勝ったということになっているぞ、これはどういうわけや?」
「GGIさん、これはまことにグッドクエスチョンです、そこですよ問題は!」
「どういうことや?」
「真相解明委員会にある筋から強い圧力がかかったのですよ、真相は決して公表するななどという・・・」
「ある筋ってどういう筋や?」
「これは確かではないのですけれど、おそらく日本の歴史文化伝統は世界に冠たる誇り高きものであると称している筋、たとえば日本会議のような筋ではないかと思われます・・・」
「どうしてそんな筋が圧力かけるのや」
「だってそうじゃありませんか、彼らにとってはウサギとカメの神話が壊されたりでもしたら困るじゃないですか」
「神話?」
「GGIさんもオツム良くないですねえ、あのウサギとカメのレース以来、人間、ものごと、額に汗して一歩一歩コツコツと地道に努力するのが大事、継続は力なり、勤勉実直こそが日本人の誇り、みなさんブーブー不平なんかこぼしていないでしっかり働きませう、文句なんか言わずにサービス残業も率先して行いましょう、それこそが日本の良き市民です、それこそわが日本の原動力ですということになったのですよ、だからこの何よりも大切なウサギとカメの神話が壊れりすることは彼らには耐え難いのです、一大事なのです、《あれはインチキの出来レースでした》っていうことが公になったら、世界に冠たる日本人・日本文化を金科玉条とするその筋は困るのではありませんか」
「なるほどなあ…じゃあ、君の話によれば、ウサギとカメの神話こそが勤勉実直なる日本人を作ったということになるけど、これはなんともすごいフレームアップやなあ・・・」」
「フレームアップなんかではありません!これは歴史の真実です!」
「歴史の真実!カメが歴史を語るのか?」
「カメが歴史を語ってはいけないんですか?GGIなら歴史を語らう資格があると思っているのですか?」
「べつにそんなことは言ってはいないけどなあ・・・」
とんでもない難物のカメ君でありましたのでGGIは退散することにました。
「カメ君、ありがとう。今日はとても勉強になった。さあ、ゆっくりお昼寝を続けてください」
「でもねえGGIさん、あれ以来ボクたちカメは忸怩たる思いで生きてきたことを分かってくさいね」
「そやなあ・・・カメ君が忸怩たる思いかあ・・・」
梅雨の晴れ間の蒸し暑い午後のことでありました。GGIはカメ君の忸怩たる気持ちを思いつつノロノロと歩いて庵に帰り着き、すぐに昼寝をしたのでありました・・・
グッドナイト・グッドラック!