UGUG・GGIのかしこばか日記 

びわ湖畔を彷徨する独居性誇大妄想性イチャモン性前期高齢者の独白

東電の技術力が高いってほんと???

2017-09-15 01:19:59 | 日記

9月12日の朝日新聞(朝刊)に、東電の柏崎刈羽原発の再稼動に関する原子力規制委員会の審理が大詰めを迎えており、最終的には新安全基準を満たしていると認められる見通しであるとの記事が掲載されていました。近いうちに再稼動への実質的なゴーサインが出るだろうというニュースです。

今日の写真はこの記事を撮ったものです。いつもながら見にくいのですが、よろしければクリックしてご覧くださいませ。

この記事の見出しに(東電の)「技術力の高さ、異論なし」とあるのを見てGGIはびっくりしてしまいました。絶句いたしました。

記事の本文には以下のように記されていました

《・・・設備設計を担当した更田豊志委員長代理は6日の定例会で「審査を通じて東電の技術力の高さを感じた」と評価。田中俊一委員長を含めたほかの4人からも、その点について異論はなかった・・・》

この一文を読んでGGIがびっくりしてしまって「ほんとかよお!」と思わず叫んでしまったのです。というのは、スイスの電力会社の話を思い出したからです。いつのことであったか定かではないのですが、朝日新聞が掲載していた記事、スイスの電力会社が福島第一原発と同型のGE社(ゼネラルエレクトリック社)製の原発、マークⅠを導入したときの話のことを思い出したからです。

スイスの電力会社の技術者たちは、設計図を目にして、まず原子炉格納容器の容量(体積)が小さすぎるのではないか、この容量では大事故が起きて格納容内の圧力が高まった場合に耐えられない可能性があると判断しました。そして、この容量の格納容器では不十分であるから、大事故が起きてて格納容器が破壊された場合に備えて格納容器を包み込む形でさらに第二の格納容器ともいうべき設備を格納容器の外側に追加することにしました。

また、導入後しばらく時を経て、GE社から大事故に際して格納容器内の圧が高まり破損の危険が生じた場合に放射能を含む気体を緊急に外部に放出する装置、いわゆる《ベント》(排出口)と称される装置を追加してとり付けるようにとの指示がありましたが、スイスの電力会社の技術者はこのときも独自に緻密な検討を行いました。

ベントによる放出が必要になるような大事故が起きた際には電源も喪失している可能性が考えられる、電源が失われている場合はベントを開くためのバルブが電動式のものであれば作動させることができずない、そのため内部の気体を排出することはできない、そのようなことになれば格納容器が破壊される、したがって、このような事態を回避するために、ベントのバルブは電動式のものではなく、空気圧による作動させることができる方式のバルブに変更することが必要であるとして、この変更を実施しました。 

それだけではなく、次いでスイスの電力会社は、マークⅠ型の原子炉についてはこのような改良が必要であることを東電に強くアドバイスしました。しかし、東電はこのアドバイスを無視しました。

福島原発事故のとき幸い格納容器が大破するまでには至らなかったのですが、ベントを実行にする際には非常な危険に見舞われました。スイスの電力会社が指摘していたように電源が失われベントのバルブを作動させることができなかったのです。このため関係者は駐車していた車のバッテリーを外して必死でかき集めるなどして、とりあえずの電源を確保したのです。もしこの作業が遅れていたら、あるいはうまくいっていなかったならば、格納容器内の気体を排出することができず、その結果、格納容器は吹っ飛んでもっともっと大参事に至っていたことでありませう

このスイスの電力会社の対応と東電の対応をくらべてください。その差は、その技術力の差は、誰の目にも歴然としています。スイスの電力会社のアドバイスを無視した東電にどのような技術力の高さがあるというのでありませうか・・・・

想像力を駆使して起きるかもしれない危険性に十分な検討を加えること、そのような危険が生じた場合にどのような事態が生じるのかを緻密に考えること、そうした場合に備えてどのような具体的な技術的対策を講じるのが適切なのか、そのような対策が可能であるか否かを細部まで緻密に考えを検討すること、そしてそれらの対策を正しく迅速に実行に移すこと、これらが原発の運転に伴う最も必要とされる技術力ではないでせうか、これらの点に関して深い優れた洞察力を備えていること、それこそが技術力の高さなのです。

 事故前、福島原発の作業員さえ大きな津波がきた場合に海水をかぶって電源が失われのではないかと心配していたのに、その可能性についてまったく検討をおこなわず、まあそんな大きな津波は来ないだろうと、まるで科学的根拠のない希望的観測のもとに漫然と対策を放置していた東電の姿勢は、いわば「赤信号、みんなで渡ればこわくない」という「グループ・シンク」(集団浅慮)の典型です。グループ・シンクが支配する世界に「高い技術力」が存在するはずがありませぬ。

(「グループシンク」についてはこの日記の以下のサイトに若干記しておりますので関心のある方はご覧くださいませ)

http://blog.goo.ne.jp/ugugggi/d/20160521

原子力規制委員会のみなさん、まことにお仕事ご苦労さまでありますが、でも、しっかりしてください、どこを見ているのですか!あの大事故は愚かなるグループシンクに依存した東電の「低い技術力」が故に起きたのですよ、目を覚ましてください!

なもあみだぶ、なもあみだぶ、なもあみだぶ・・・

グッドナイト・グッドラック!