この9月11日で米国での「同時多発テロ」と称される危機から16年になります。この危機が引き金となって米国を中心とした「連合国」によるイラク・アフガン戦争が始まりました。オバマ大統領時代にイラク・アフガンからの撤兵の動きがあったものの、最近になってトランプ大統領はアフガンへの米軍の増派を決定しており、未だに終わる気配はまったくありません。
これまでにない、とても長い戦争です。同時多発テロからひと月後にアフガン空爆が開始され、2003年3月に国連安保理の決議を得ずに米国はイラク侵攻を開始しました。
あの太平洋戦争は4年間、日中・太平洋戦争は9年間、二次大戦は6年間、一次大戦は4年間、米国によるベトナム戦争は11年間つづきましたが、これらの戦争を上回り、少なくとも米国史上最長の戦争になっています。
しかし、あまりにも長いあいだ戦闘が行われており、戦争が完全に常態化してしまった感があります。何の将来的見通しもないまま米国をはじめとした連合国とロシアはまるでもぐら叩きのごとく軍事的に圧倒的に優位な状況の下で、イラク・シリア・アフガンなどで戦い続けています。ダラダラと続き過ぎているためでせうか、当事国ではない日本のメディアの関心は低いようであり、お隣のキム君についての報道はてんこ盛りでありますが、9・11危機から16年をテーマとした、現に行われている戦争に関する報道はほとんど見当たりません。
イラク・アフガン戦争に対する反戦運動も最近ではほとんど耳にいたしません。イラク戦争開始からしばらくは、世界的に反戦運動は盛んであり、欧米では数十万人規模のデモが何度もくりかえしおこなわれていました
日本でも、ベトナム戦争当時とくらべるといささか盛り上がりに欠けていましたが、それでも反戦運動は行われていました。GGIも小さなデモのしっぽについて歩いたり、開戦直後にはパルコさんの前の広場でピース露店を開業し(といってもほんの数日のことでしたが)反戦ハガキを配っりしたことがあります。また、絵心のある知人に作ってもらったピカソンのデッサンをモチーフにしたピースフラッグを手にしてデモの列に加わったこともありました。
2014年に米国などがイラク・シリアへの空爆を開始したとき、また翌年パリ同時多発テロの報復としてフランスが同様に空爆を開始したとき、空爆反対のデモが欧米などでは行われましたがすぐに勢いを失い、イラク・シリア戦争反対への大きな動きにはなりませんでした。このときは、まったくゴマメの歯ぎしりですが、GGIもフランス大使館気付仏大統領あてのハガキをつくって若干ばらまいたのですが、反応は芳しくありませんでした・・・
しかし、戦争が長引き常態化するにつれ、ローマ法王が「これは第三次世界大戦である」とまで言っていた大規模な戦争であるにもかかわらず、この日本では戦争の他人事化がドンドン進行し、GGIも人並みに「まだやってるのか、まあ、いいか、・・・」としだいに、関心が薄らいでいきました。しかしながら、いくら戦争が他人事化しようと現にいまも続いているのです。
かようなしだいで、昨日、ひさしぶりに、開戦以来、イラク戦争における民間人の死者数の調査を続けている「イラク・ボディ・カウント」という欧米の市民団体のサイトを見てみました。
今日の写真はこのサイトに掲載されていたグラフを撮ったものです。見にくいのですがクリックしてご覧くださいませ
2003年から2917年までの月間の民間人死者数が棒グラフで示されています。これまでの民間人死者数の累計は最少で17万8931人、最大で20万433人とされています。この数値は主に複数のメディアにより報道され死亡が確認されたものを内容としており、その信頼度は高いとされています。最近でもひと月に1500人前後もの民間人が命を失っています
詳しくは以下のサイトをご覧ください、
https://www.iraqbodycount.org/
しかし、ずいぶん以前のことですが、英国の医学雑誌「ランセット」に掲載された、各地の病院などを訪問して行われた調査の結果についてのレポートでは、実際の民間人死者数はイラク・ボディ・カウントによる数字の数倍に達するであろうとされています。
また、死亡するに至らなくても、重傷を負い、回復不能の障害を持つ身になった犠牲者の数はこれれの死者数の何倍にも達しているものと推測されます
このグラフを眺めていますと、戦争開始から時を経るにつれて死者数が減っていくわけではなく、一時的に減っていることはあっても、今後も依然として多くの市民が戦乱に巻き込まれて命を落とすことになることが分ります。先が見えません。「イスラム国」がなくなっても依然として、この先、何年も何年も何年も、戦いは終わることなく続くでありませう・・・・
イラク・アフガン戦争は文字とおり終わりなき戦争です。そして日本は米国による戦争を、武力行使を、他国に先駆けて常に絶対的に支持することを通じて、また基地を提供し米軍が自由に行動することを可能にするという具体的行為を通じて、この戦争に深くかかわっています。憲法問題なんかそっちのけで、戦争の他人事化がいかに日本において進もうとも、日本は事実上この終わりなき戦争にどっぷりと関わっているのです。
なもあみだぶ、なもあみだぶ、なもあみだぶ・・・
グッドナイト・グッドラック!