UGUG・GGIのかしこばか日記 

びわ湖畔を彷徨する独居性誇大妄想性イチャモン性前期高齢者の独白

知ったかぶり日本語文法:形容詞不足問題・・・

2017-09-10 02:18:07 | 日記

いまは亡き作家、井上ひさしの著作のひとつに「私家版 日本語文法」という作品があります。退屈になりがちな日本語の文法あるいは構造の話を井上氏流のユーモアをたっぷり交えて記したなかなか優れた本です(新潮社1981、新潮文庫1986)

 この本のなかで、井上ひさしは日本語には形容詞が圧倒的に不足していると主張しています。名詞の数に比して、それぞれの名詞にふさわしい形容の言葉すなわち形容詞が圧倒的に不足しているとして、その理由や原因を自説や柳田國男の説などを挙げて説明しています。内容は若干複雑でありますのでここでは省略しますが、GGIとしましては、形容詞不足だという彼の主張には一理あり、たしかに日本語には形容詞が不足しているなあと思い当たる節がありますね

 GGIが考えますところ、一番典型的な形容詞不足の例は何か美味なる料理を食してほめるときに使われる形容詞です。たとえば、テレビでは食べ物番組はわんさか溢れていますが、番組に登場して出来上がった料理を口にするタレントやアナウンサーやその他関係者が発する形容詞はたったのひとつか二つしかありませぬ

「おいしい!」あるいは大げさに「おいし~い!」あるいは「うまい!」

若干のバリエーション、「メチャおいしい!」「マッタリとしておいしい」などさらに形容の言葉を加えることはありますが、要するに用いられる形容詞は実質的には「おいしい」か「うまい」だけです。

料理を口にして大げさにいろいろな表情はしてみせるものの、用いられる形容詞はたったの一つか二つ・・・確かにこれでは形容詞大不足であります・・・

また、何か美しきものを目にしたときのほめ言葉して用いられる形容詞も形容詞不足症候群の典型です。

このことを分かっていただくために今日の写真を、できればクリックしてご覧くださいませ。昨日の朝、午前七時ごろに撮ったわがノーザンガーデンの光景です。朝の光の中に芙蓉の花が見事に咲いています。

この写真を、写真に写っている芙蓉の花を目にしたら、よほどのへそ曲がりでない限り、芙蓉の花を愛でる言葉を発することでありませう。そのとき、あなたも含めてみなさんはきっと次のように言うでありませう

「わあ、きれい!」あるいは「まあ、すてき!」

みなさんが花を愛でて口から発する形容詞はおそらくこの二つだけです、「美しい」と言う形容詞があるではないかとおっしゃる方がおられるかもしれませんが、「美しい」はどちらかといえば書き言葉であり、会話において「美しい」が実際に用いられることは意外に稀であります。また「美しい」は「きれい」とまったく同義ですから実質的に同じ形容詞です。ですから、花を愛でる形容詞もおなじく大不足であるというべきありませう。

大不足であることは英語の表現と比較すると歴然としています。英語を母語とする人は美しい花を目にして様々な形容詞を口にするすることでありませう、

たとえば

オー、ビューティフル、オー、スプランディッド!ファイン!マーベラス!エクセレント!、オー、エレガント!、マニフィック!ワンダフル!ファンタスティック!などなど、大げさな形容詞のてんこ盛りであります,

形容詞が多い言語と少ない言語、言語に優劣があるわけではないのですが、井上ひさし氏は、日本語における形容詞不足を補うために、英語や仏語の形容詞を日本語に移しかえるのをやめて、そのままカタカナで用いるということが行われているとしています。その証拠としてたとえば広告文におけるカタカナ語の多用を指摘しています。

大人だけでな子供たちにおいても形容詞が極端に不足しております。遊園地や何か子供向けのイベント会場などで、帰途に就く親子連れがテレビ撮影などのマイクロフォンを向けられ、「今日はどうだったか?」と聞かれますと、子供たちは判で押したように答えます、「楽しかった」、これだけであります。これ以外の形容詞はめったに口にしませぬ。まさに形容詞危機であります

今日は柄にもなく「日本語のお勉強」というマジメなものになってしまいました

なもあみだぶ、なもあみだぶ、なもあみだぶ・・・

グッドナイト・グッドラック!

コメント
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