透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「いかめしの丸かじり」

2016-09-24 | A 読書日記


『いかめしの丸かじり』東海林さだお/文春文庫

 東海林さだおさんの「丸かじり」シリーズを全巻通読するほど熱心な読者ではないが、既に何巻か読んだ。

書店でこの文庫を買い求め、一気読みした。観察力に優れた人だと読むたびに思う。料理そのものを鋭く観察し、一般人がおよそ気がつかないこと、いや気にもしないことを指摘したりする。それを読んで、へ~、そんなこと知らなかった、となる。最近では、なるとの周囲のミゾの数が16だということをこのシリーズを読んで知った。

東海林さんは人間観察も鋭い。

**居酒屋に二人で入ってきて、とりあえずビールということになり、ビールが来ると片っぽうが、
「まあまあ、ひとつ」
と言いつついち速くビンを取りあげ、もう片っぽうが、
「いやいや、これは」
とコップを差し出す。**(「まあまあ、ひとつ」52頁)

確かに、よく見かける光景だ(といっても頻繁に居酒屋で飲んでいるわけではないので、一般的なイメージとしての同感というか、同意)。

東海林さんはここで考える、「まあまあ、ひとつ」の「まあまあ」とは何か、「ひとつ」とは何かと。その答えを示した後、「「いやいや、これは」についても考える。

「ビール、つぎます」
「ハイ、受けます」では確かに変だな・・・。


東海林さんならダムカレーについてどんな考察をするだろう、食べている人をどのように見るだろう。読んでいてふと気になった。


 
「パンの耳の丸かじり」も以前読んだ。


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