■ カフェ・シュトラッセ。春の陽が室内に柔らかく射し込み漆喰の壁がそれに応えている。やはり自然素材の室内は心地良い。ここで『終らない旅』小田実/新潮社 を1時間ほど集中して読む。恋愛小説だが、そこは小田実、ベトナム戦争のことなどを織り込みながら物語を展開させていく。ベトナムで20年ぶりに運命の再会をしたふたり、どんなエンディングを迎えるのだろう・・・。
この作家のことをしばらく前にNHK教育テレビで特集していた。病室にカメラが入って取材、時には廊下からドアのガラス越しに病室内の様子を伝えていた。小田実は病に伏しながらこの国の行く末を心配していた。「富国強兵などしなければよかった・・・」実に悲しげな顔で語っていたのが印象的だった。
カフェに置いてある新聞の広告で川上弘美の新刊『風花』を知った。『真鶴』からもうだいぶ経っている。小田実から川上弘美へ、すごい落差・・・、でもこれが私の読書。