透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

228 山形村の火の見櫓

2011-12-10 | A 火の見櫓っておもしろい

 鋼製の骨組みだけの火の見櫓は意匠と構造とが不可分というか、構造そのものが意匠でもあるというか、構造的な合理性によって(構造的な合理性だけでと言い切ってもいいでしょう)姿形を与えられています。ここに火の見櫓の美の理由があるのです。

ところで、木造建築は建て方直後の骨組みだけの状態で美しくなければ完成しても美しくありません。骨組みが単純明快に解かれているかどうかで設計者の木構造に対するセンス、力量が分かると私は思っています。火の見櫓同様、建築においても空間構成の明快性や美しさは構造的な合理性によってもたらされるものだと思うからです。

火の見櫓は建築設計のあり方も示してくれているように思います。


 
228  撮影日111210 櫓の後方にうっすらと雪化粧した美ヶ原が写っています。

 松本市に隣接する東筑摩郡山形村は長いもの産地として有名な村で、この時期村内のあちこちで長いも掘り作業が行われています。この火の見櫓は山形村の下竹田という地区に立っています。それほど高くない火の見櫓で(高さ7mくらい)、梯子は櫓の外に架けられています。脚元に消火ホースの収納箱と消火栓があります。



3角形の櫓に6角形の屋根と見張り台。オーソドックスな形の火の見櫓です。ドラ型の半鐘が吊り下げられていますが、聞けばこの村では10年以上も前から半鐘を叩いていないとのことです。ホースを架ける金物が取り付けられています。ホースを干すタワーとしては今も現役です。



屋根と見張り台の位置関係はちょっと間延びした感じです。手すりにはツルのような飾りが付けられています。



櫓の3本の脚はなだらかな曲線、櫓全体の荷重をしっかり支えているとこが視覚的に分かります。安定感のある脚元です。

現存しない(191217追記)



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